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☆635. 美術館「えき」KYOTO (美術館の階段)

○美術館「えき」、CIMG3438

"美術館「えき」KYOTO"は、京都駅ビルの中にある。
1997年に開業したこのビルは、原広司の設計によるもので、広大な吹き抜けと大階段が特徴である。



○美術館「えき」、CIMG34492

美術館の入口も、この大階段の途中に設けられている。
"美術館の階段"ならぬ、"階段の途中の美術館"である。



○CIMG3458

駅ビルの開業当初は、古都の玄関口としてふさわしくないデザインであるとか、駅ビルとして巨大すぎないかとか、毀誉褒貶相半ばするというよりも、「毀」と「貶」の方の評価が多かったらしい。
しかし、いつも新幹線のホームからこのビルを眺めていると、横にぐーんと広がった図体も、壁面のところどころに原色が混じるポップなデザインも、見慣れてきたせいか、なかなか愛らしいという気がしてくるのである。
特に、この"黄色"なんか、気が利いていると思うのだが、どうだろうか。




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☆634. ヴィクトリア&アルバート・ミュージアム (美術館の階段)

○VA2791

クリックするとフルサイズの画像が見えます。
しかし、ピントが甘く、薄暗く、うまくこの雰囲気が伝わらないかもしれません。
せっかくの "モリス・ルーム"(The Green Dining Room) だというのに。

ロンドンのヴィクトリア&アルバート・ミュージアムに来たら、階段よりもなによりも、このウィリアム・モリスがデザインした緑の部屋が見たいと思っていました。
実際に部屋のなかに入ってみると、色調の違うグリーンの組み合わせと花や果実やさまざまな紋様に目が眩みそうになります。だからなのか部屋の照明が極端に暗いのは、というのはいつものくだんない感想にすぎませんが。


◎VA1

いやしかし、もちろん美しい階段もあるのです。
ほんとうならここに、大理石の主階段の画像をあげるべきでしょう。後にバッキンガム宮殿の設計にも参加したアストン・ウェッブによるもので、とても荘厳な階段なのです。
でも、わたしが魅かれたのは、こんな小さな階段の方でした。
なにか不思議な雰囲気を醸し出している、そんな気がしました。


◎VA842

こちらの階段も同じように不思議な調子のものです。
どこから、どこへと、繋がっていくものなのか?
それとも、そんなことは、V&A美術館が歩んできた長い時間の中では、たいした問題ではないのでしょうか。



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462. ロアルド・ダール ほしぶどう作戦 (フルーツ小説百選)

Dahl_Kiss_Kiss.jpg


「ほしぶどう作戦」は、短編集『Kiss Kiss」(1960)に所収の一篇。
ダールの作品集の中でも、これは、とびきりの作品が詰まっているとして評価が高いらしい。
なるほど、冒頭から、「女主人」、「ウィリアムとメアリイ」、「天国への登り道」、「牧師のたのしみ」、と楽しい作品が続いて行く。そして、最後の一篇が「ほしぶどう作戦」なのであるが・・、これが、なんと!

「それじゃ、雉子の密猟で世界一という方法を三つ教えてやろう」と彼は言った。(中略)
「第一のすごい秘密だ」ここでひとつ間を置いて、煙草をふかぶかと吸った。「雉子というやつはね」とこっそりささやく。「ほしぶどうには目がない」
(開高健訳)


「ほしぶどう作戦」、これが、なんとも・・、
すばらしくクダンナイ、スプラスティックな一篇なのでありました。
爆笑必至のとびきりの物語なのでありました。
だから、雉子の密猟で世界一という方法の残る二つは、書かないでおこうと思うのである。

PS. この物語は、後に、「ダニーは世界チャンピオン」(1970)という題名で、児童向けの長編としてリライトされる。そちらも、もちろん愉しい。



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461. 大島弓子 バナナブレッドのプディング (フルーツ小説百選)

大島弓子



漫画喫茶に入る。
しばらくして気がつくのは、書棚に、"大島弓子"が無いことである。
いや、ようく見てみると、高野文子も、山岸涼子も、清水玲子も、無い。ああ・・・、
またしても慄然とする。

「ねえ 転入生 なぜいつも雰囲気が深刻なんです まるで世界がきょうでおしまいみたいに」
「きょうはあしたの前日だから・・・・・・
だからこわくてしかたないんですわ」
(「バナナブレッドのプディング」冒頭)


朝日ソノラマ版の『大島弓子選集』(全16巻)は、決して手放せないシリーズである。
作品はもちろん、羽良多平吉さんのてがけた装丁の美しいことときたら!
義理チョコマシーン製のブラックサンダーで汚れた指なんかでは、決してさわれない本なのである。

ともあれ「バナナブレッドのプディング」(1977-78)を読む。
テーマはいつものように"無垢"である。
だから甘いタイトルに惑わされていると痛い目にあうかもしれない。
こちとらそんなことは重々承知でい、と思っていたにもかかわらず、少々どこかを痛めてしまった。要注意!



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460. 川原泉 愚者の楽園/美貌の果実

川原

漫画喫茶に入る。
しばらくして気がつくのは、書棚に、"川原泉"がないことである。
いや、ようく見てみると、大島弓子も、日渡早紀も、くらもちふさこも、無い。ああ・・・、
慄然とする。

「大丈夫ですか お嬢さん」
「どなたですか? ここはどこかな 一体なにが・・・」
「このたびはうちのヤシの実がとんだ不始末を・・・ 
門の前に人が倒れているのを見つけた時には仰天しました。
そんでですね ここは日本農園ちゅー所で ぼかあその経営者の安楽史郎です」
「日本農園の 安楽死? 
・・・ははは」
「きみ・・・ 毎朝うちの前通るたびに笑ってく人でしょ」
(川原泉「愚者の楽園」)


花とゆめCOMICS版の『美貌の果実』には、四つの短編が収録されている。
架空の森、愚者の楽園、大地の貴族、美貌の果実、
粒揃いというしかないみごとな四編である。
表題作の「美貌の果実」は、母娘が営むワイナリーに"葡萄野精"が手伝いに来るという話。わたしのフルーツ小説選にはもってこいの作品なのである。
しかし、わたしのお気に入りは、フルーツ農園を舞台にした「愚者の楽園」の方である。
この農園のはなしというのが、川原泉にぴったしの設定なのだと思う。
爆笑必至の物語とはこういうものを言うのである。



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459. キウイじいさん

キウイじいさん


「キウイじいさん」(2005)は、渡辺茂夫(文)と長新太(絵)による絵本。
長さんの絵は、これ全篇キウイ色、
この"グリーン"の楽しいこと!
渡辺茂夫さんのつくったヘンテコなはなしも、長さんの絵とぴったしなのである。

どんな枝ぶりなのか、どんな葉なのか、そのへんのところがわかりません。
そういったことがわからないと、描けません。マンガふうだから、いいじゃないかと思われるかもしれませんが、なんだか不安なのです。結局、伊豆の知人の家で発見。
クネクネしたつるを帽子のように頭にのせて、急いで帰宅したのでした
(長新太さんによる"あとがき")


長さんの絵本では、この色はめずらしい。
そればかりか、"キウイ"を描くのが初めてだったらしい。
・・・長さんの書いた「あとがき」を読むと、そのあたりの事情がわかって、いっそう面白く読めるのである。



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458. ジョージ・R・R・マーティン 洋梨形の男

洋梨形の男


河出書房の"奇想コレクション"シリーズは、どれも楽しい。
ジャンルを超えて「すこし不思議な物語」の名作を集めるというコンセプトも面白いが、同時に松尾たい子さんの描く装画も楽しい。ちなみに「洋梨形の男」の表紙はこんなものである。

洋梨形の男は階段の下に住んでいる。肩幅は狭く猫背だが、臀部はみごとなほど大きい。あるいは、ひょっとすると、着ている服のせいでそう見えるだけかもしれない。裸の彼を見たと認める者などいない。見たいと認める者などいない。ズボンは茶色いポリエステルのダブルニット、折り返しは広く、尻の部分はテカテカに光っている。いつもブカブカだ。(中略)
頭は大きな洋梨の上に載った洋梨。二重顎と、はち切れそうにふくらんだ頬。頭のてっぺんはとがっているといっても通りそうだ。
(中村融訳)


「洋梨形の男」(1987)、すこし笑えてとても不気味な短編である。
もちろん、こんな男は近所にいてほしくないと思う。
いや、そんななまやさしい拒絶ではだめだ。率直に、近寄らないほうがいいと言おう。それとも、すぐに逃げたほうがいいと叫ぶべきか。もちろんその叫びが、手遅れでないとすれば、であるが。

邦訳は河出書房版の同名の短編集に所収。
この作品集は、マーティンが80年代に書いたホラー系の中短編を中心に集めて"奇想コレクション"の一冊としたものである。



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457. なしのこぞう (フルーツ小説百選)

なしのこぞう2


「なしのこぞう」は、グリム童話集の一篇。
唯一、韻文で書かれたはなしなのだという。
だから、童話集の初版(1812)に収録されただけで、以降の版には載せられていないという、ちょっと可哀想(?)なはなしなのである。
だから、ここで、採ってやろうと思う。

「うしかいよ いけ!」

うしかいは こうしを うつやくめ、
だが うしかいは こうしを うたない、
こうしは みずのこを のまない、
みずのこは ひのこを けさない、
ひのこは こんぼうを もさない、
こんぼうは コロを たたかない、
コロは ヨックリに くいつかない、
ヨックリは なしを おとさない、
それで なしのこぞうはおっこちない。


読んだのは、世界文化社版の絵本「なしのこぞう」(文・若谷和子、絵・村上勉)、である。
この連鎖形式の文章が、なかなか小気味よい。こんなに楽しいはなしだったのか!

参考までに、岩波文庫のグリム童話集は"完訳"というだけあって、この話も収録している。世界的にも稀な例なのだという。岩波版を読んでみると、この韻文の翻訳には苦労の跡が見える。しかし、どうにも訳文が立派すぎて読みにくい。たのしさが伝わってこない。このはなしに限っては、やはり"絵本仕立て"にして、思い切った意訳をした方が良かったなと思うのである。



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456. ハンヌ・ライアニエミ 量子怪盗 (フルーツ小説百選)

ライアニエミ(1978~)は、フィンランド出身でイギリス在住の作家である。
「量子怪盗」(2010)は、彼のデビュー長編である。それにもかかわらず、その見事で多彩なSF的ガジェットに唸らされる。ニュー・スペースオペラの魅力にいちどにやられてしまう。”ポストヒューマン時代の怪盗対名探偵”という、とんでもなく陳腐で素敵な物語の設定に、感嘆し魅せられてしまう。
内緒だが、怪盗のパートナーとして、ミエリという名の美少女戦士まで現れるんだもの。

夢の中で、彼女(ミエリ)は桃を食べていた。あれは金星でのことだ。果肉は甘く、果汁たっぷりで、かすかに苦みがあった。味覚は繊細な形で、シダンの味覚と混じりあっている。
ミエリはいった。
「最低だよ、キミなんか」
(酒井昭信訳)


この作品は、間違いなく、2013年のベスト・ブック級の魅力を持つと思う。
ただし、これを”フルーツ小説百選”のひとつとして位置付けるのには無理があった。実際には、もっといいものなのである。読後の感想はただひとつ、三部作の残り二つが待ち遠しくてたまらない。



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455. ウィリアム・トレヴァー 失われた地 (フルーツ小説百選)

「失われた地」は、短編集『アフター・レイン』(1996)に収録の一篇。
引用するのは物語の冒頭、まず登場するのは、ミルトン、16才にまだ届かない少年である。続いて、黒髪の女性。彼女はなにものであるか?

1989年9月14日木曜日の午後、丘の上の父親の果樹園でミルトンは一人の女性から声をかけられた。ミルトンはびっくりした。もし女性がりんごを盗んでいたのなら、彼の足音が聞こえた時点でその坂のあたりで身を隠すことができたはずだ。ところが、彼女は挨拶をしようと前に進んで来た。ウエーブの無いまっすぐな髪は黒く、細面の顔にはやつれたような感じがあったが、それにもかかわらず若々しく見えた。ミルトンが彼女に会うのはこれが初めてであった。(中略)
その後、ミルトンは黒っぽい外套のすその下からのぞいていたやせたふくらはぎと細い肩、そして彼女のものとは到底信じられないような豊かな黒髪を思い出した。彼にキスをしたとき、彼女の唇にはミルトンの母のもつ湿り気はなく、骨のようにかさかさとして乾いていた。その感触がごく軽かったので彼はキスをされてもほとんどそれとは気づかなかった。
(安藤啓子訳)


物語の舞台はアイルランドのとある村、時代は・・・、何十年か前の話かと思いながら読み出すと、いや違った、1989年だと書いてある。ほんの20年ほど前のはなしである。
ほんの20年ほどまえのアイルランドでは、こんな重く暗い空気が常時流れていて、信仰も家族も少年もすべてがその渦の中に巻き込まれてしまうという、そんな物語が幾つも幾つも繰り返されていたのだろうか。
トレヴァーが68歳で書いたこの短篇集は、いつもの作品にもまして緻密で味わい深いものの、その分、とても重くこころに響いてくる。どうしてくれるんだいっ。暗い冬の夜に読む物語ではなかったとも思う。



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