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855. アンデルセン 絵のない絵本 (画家小説百選)

© 2004 Lisbeth Zwerger
(Lisbeth Zwerger、「Thumbelina」)


アンデルセンの「絵のない絵本」(1839)、
久しぶりに読んでみて・・・、主人公の若者は"絵かき"だったなぁ、と気がついた。

月が、一人の青年に語りかける。
「これから自分が話す物語を絵にしてみなさい」と。
月が見てきた物語を、青年が書きとめるという形式で、33の掌編が紹介される。

童話というよりは、散文詩のような作品である。
美しくてみずみずしくて、少し哀しい。
そしてなにかシニカルな視点が底のほうに見え隠れする。
でもどうして青年はこの物語を絵にしなかったのだろう?

ある夕がたのこと、ぼくはなんだかとても悲しい気持ちになって、窓ぎわに立っていました。そして、窓をひらいて、そとを見ました。ああ、そのときのぼくのよろこびといったら!そこには、ぼくのよく知っている顔が見えたのですもの。あのまるい、なつかしい顔が、遠い故郷からの、だれよりも親しい友だちの顔が見えたのです。それは月でした。なつかしい昔ながらの月だったのです。(中略)ぼくは月にキスの手を投げました。すると、月はまっすぐにぼくの部屋のなかへさしこんできて、これからまい晩、そとに出たら、ちょっとぼくのところをのぞいてゆこうと、約束してくれました。
(大畑末吉訳)


2005年に、「アンデルセン生誕200年記念」のイベントが世界中で開催された。
上の画像は、そのイベント時に、リスベート・ツヴェルガーが書いたオフィシャル・ポスターの原画である。
この絵には、すっかり魅せられてしまいました。
「おやゆび姫」の絵だというのだが、そんなものではなくて、何かもっと妖しくてあやういものだと思う。



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☆679. 森鷗外記念館 (ミュージアムの階段)

写真2


森鷗外記念館は、千駄木駅の近くにある。
2012年に改築されて現在の建物となった。
設計は、陶器二三雄建築研究所。
外壁のレンガ(表面を削って独特の質感を出している)と、内部のつるりとしたコンクリートの打ち放しの組み合わせが、とても面白い。


写真  写真4 (クリックすると大きな画像が開きます)


そして、このミュージアムにしては小振りな建物においては、"階段"の存在感がきわめて危ういのである。
狭く、細く、暗い。
地下2階、地上2階建てのこの建物には、そんな階段があって各フロアを繋いでいる。
その階段は、狭く、細く、暗い。面白い特徴がない、それでいて、強く印象に残るものがある。

印象に残るのは、その薄暗い空間の向こうに、強い"光"が差し込んでいるからだと思う。
その光が、単に明るさをもたらし且つ閉塞感に陥ることを防いでいるという以上に、ある種の力強さを感じさせるのである。
それが巧みということなのだろうか。
以上、報告します。




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854. J・D・サリンジャー ド・ドーミエ=スミスの青の時代 (画家小説百選)

NineStories.jpg


時代は1930年代末、主人公の"わたし"は19才、母に死なれ、義父と二人でパリからニューヨークに移ってきたところから物語は始まる。"わたし"は、やがて、名前や年齢や経歴を偽り、カナダの美術学校の講師の職を得ることになる・・・。

物語の体裁は、若き芸術家の肖像である。或いは、そのパロディである。
"わたし"の法螺話めいた独白を通して、かなり直截的な絵画論やら芸術家論が語られたりするので、一旦はこちらもそれを面白おかしく読むふりをしておいて、それから作家の肉声を聞き分けようかなどと無謀な試みをしてみたりする。
やれやれ、サリンジャーは、いつもながら読み方が難しい。ン十年経っても、それは同じである。

宵の口には、たいてい本を読んで過した。わたしは『ハーヴァード古典叢書』を一揃い買い込んだ。われわれの部屋にはそんな物まで置く余裕がないとボビーが言ったのが主な理由であった。そして、その五十冊全部をわたしは依怙地になって読み上げてしまった。夜がふけてからは、ボビーと二人で使っていた寝室のツイン・ベッドの間に画架を立て、きまったように絵を描いた。1939年の日記によると、たった一ヶ月のうちに十八枚もの油絵を仕上げた記録も残っている。注目に値するのはそのうち十七枚までが自画像だったことだ。・・・
(野崎孝訳)


「ド・ドーミエ=スミスの青の時代」は、作家の自選短編集『ナイン・ストーリーズ』(1953)に所収の一篇。
サリンジャーの30代の作品である。
30代の作品集だからといって、若書きだとか、直截的な表現が多いだとか言うつもりは決してない。
むしろ、これ以降、サリンジャーが書いていくことになるグラス・サーガなどの作品群の、ここが出発点になったのだろうなと、ありふれた読者ならではのありふれた感慨がどんどんわいてきたりするのである。
そして、短編集の中に、"画家小説"が含まれていて良かったなと。



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☆678. 向島百花園 (ミュージアムの階段)

百花園


向島百花園(1805年頃、開園)が、ミュージアムであるとして、
そしてそれから、この "踏み石" が、「階段」であると呼ぶことができるとすれば (たしかに傾斜はある!) 、
それで何とか、この記事は成立すると思う。


百花園3

そうまでして、これをエントリーしたのは、この踏み石のつながる先の『御成座敷』が、彼の酒井抱一の設計によるものだと知ったからである。
とすれば、この踏み石もまた、抱一流の江戸の風雅の表現であったかもしれない。
同行の英国人には、これは江戸の "マニエリスムの階段" であると説明しておいたが、間違えたかどうか。(笑)



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☆677. 青淵文庫 (ミュージアムの階段)

この時期、拙ブログにとって、記事を書くのは難しい。
だいたい、海外小説には、それがほとんど登場しないし、
ミュージアムにしても、都合よく階段とそれとを一緒に収めた画像なぞ、なかなかないってものだからである。


青淵文庫


青淵文庫は、飛鳥山の旧・渋沢庭園の中にあって、大正期(1925)に建てられた当時の姿を残している。
この建物の美しさは、まさに「筆舌に尽くし難い」級である。
殊に、外壁の月出石やすこし緑色を帯びたタイルとステンドグラスの美しさときたら! ちょっと、ル・コルビュジエの西洋美術館の建物を連想したりする。いやはや、機会があれば、こんな階段の画像ではなく、建物の全貌をぜひ鑑賞していただきたいと切に思う。
それはまあともかく、今日のところは、この"桜と洋館の図"を御笑覧ください。




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