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1004. 日はまた昇る  (bicycles in fiction)


hemingway_2015072209160653d.jpg


ヘミングウェイは自転車が好きだったらしい。
上の画像にあるように 『その国の良いところを知るには自転車を乗り回すのがいちばんだ』 というような文章が残っている。
ちなみに、このパーカーは、今なら夏のセールで30ドルで買えるが、どうだろうか。

彼の小説のなかにも、自転車はたびたび登場する。
特に、1920年時の作品には、当時の自転車レースの様子が描かれていて面白い。
例えば、短篇では「追い抜きレース」(『男だけの世界』1927、所収)、そして、長篇では「日はまた昇る」(1926)。

しかし、この記事で、引用しようと思うのは、自転車レースのシーンではない。
こんな箇所である。

  I got up and went to the balcony and looked out at the dancing in the square. The world was not wheeling any more. It was just very clear and bright, and inclined to blur at the edges. I washed, brushed my hair. I looked strange to myself in the glass, and wentdown-stairs to the dining-room.
 "Here he is!" said Bill. "Good old Jake! I knew you wouldn't pass out."
 "Hello, you old drunk," Mike said.
 "I got hungry and woke up."
 "Eat some soup," Bill said.
 The three of us sat at the table, and it seemed as though about six people were missing.
( Ernest Miller Hemingway 「The Sun Also Rises」,1926)

 おきあがってバルコニーへ行き、広場の踊りを見わたす。あたりはもうぐるぐるまわっちゃいない。くっきりとあざやかで、端のほうがぼやけて見えるばかりだ。顔を洗って、髪にブラシをかける。鏡に映った自分を他人のようにながめて、階下の食堂におりる。
 「やあ、きたぞ」ビルが言う。「ジェイクの大将! 君がまいっちゃわないことはわかってた」
 「よお、よっぱらいの先生」マイクが言う。
 「腹がへって、目がさめた」
 「スープでも飲(や)れ」ビルが言う。
 三人でテーブルについたが、まるで六人くらいの人間がいなくなってるような気がした。
(谷口陸男訳、岩波文庫)


引用したのは、「日はまた昇る」の第2部18章の最後の部分。
小説全体としても、もう終盤にさしかかった場面である。
・・・「祭り(フィエスタ)」が終わりに近づき、喧騒もとぎれつつある時間。彼らは、ホテルの食堂に集まって話を始める。

この最後の部分、『三人でテーブルについたが、まるで六人くらいの人間がいなくなってるような気がした』、 という文章がどうにも魅力的で、いつまでも頭の中に残っている。祭りの後の状景が、あるいは戦争の後の状景が、こんなふうにワンショットで、ただの数行で描かれてしまう! 当たり前の感想だが、心理描写などなくても、小説は成立し、抒情詩だって書けてしまう。いやはやぼくたちだって、感傷的なフレーズばかりの歌など、作っている場合ではないのである。



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935. 筑波植物園/火星植物園 (Studies in Green)


植物園
(筑波実験植物園、左からスカシユリ、ヤマユリ、ユウスゲ)


しばし、つくば市に滞在中。
休日に植物園を見に行く。
今の見ごろは、ユリ、カワラサイコ、カワラナデシコなどだという。
ということで、トップは百合の画像。
なんと不気味(失礼)なこと!
妖しさでは、百合と薔薇が双璧だろうか。

薔薇の根を愛した男。ただ薔薇のために生きたままの肉体を捧げ、地下に潜む根のために奉仕しようと願う。火星のきびしい気候や条件下でも繁茂の可能性がある植物を育て、人間の皮膚に共生する植物を産みだそうとする。
(中井英夫 「火星植物園」)


「火星植物園」は、10頁ほどの掌編であるが、奇妙で妖美で濃密な物語が展開されて、あっというまにその世界の虜になる。何かに憑かれたようなふわふわとした精神状態に突き落とされてしまう。
植物園って怖い、と思っても、もう遅いのである。



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934. 朝顔市 (Studies in Green)


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入谷から出る朝顔の車かな 子規


というわけで、東京、入谷の朝顔市の日のこと。
仕事のために道をいそいでいると、こんな車を見つけたのである。
これは、子規の句、そのものではないかと喜んだりする。
といっても、子規の時代なら荷車だったはずなのだが、
まあ幌付きトラックでも良しとしようと思う。



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