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1201. 植物園/ブルックリン植物園 (NYC百景)


Isamu Noguchi at Brooklyn Botanic Garden 02
(Isamu Noguchi at Brooklyn Botanic Garden,01)


小説のなかの植物園、
ということであれば、たくさんの例がある。
拙ブログにも、
ユイスマンス「大伽藍」、ヴァージニア・ウルフ「キュー植物園」、
中井英夫 「火星植物園」、梨木香歩「f植物園の巣穴」
などの記事があるので、ぜひ、のぞいてみてほしい。
なぜか「植物園」の物語には、面白い小説が揃っているのである。

他にも、マイケル・オンダーチェの「名もなき人たちのテーブル」やアンディ ウィアーの「火星の人」、に登場する植物学者、
レオ・レオーニの「平行植物」や、Bozkaの「New Botany」、に登場する『幻想植物』たち、
澁澤龍彦 の「フローラ逍遥」や、荒俣宏の「花空庭園、のような博物学的エッセイ、
なぜこんなにも植物譚は、ぼくらを魅了するのだろうか。などとつい大袈裟なため息をついてしまうことになる。


Isamu Noguchi at Brooklyn Botanic Garden 01
(Isamu Noguchi at Brooklyn Botanic Garden,02)


小説/フィクションの中の植物園、については枚挙に遑がない
では、植物園の中にもフィクションはあるのだろうか?

ここに挙げた2枚の画像は、ブルックリン植物園で開かれた「イサム・ノグチ展」(2015)の作品である。
植物園とノグチの彫刻が、うまく溶け込んでいる、ぴったりの関係であると思う。
単なる野外彫刻というだけでなく、植物園と彫刻という新たな関係性が創り上げられていると感じさせるのである。


京都府立植物園、「フローラ(花の女神)」(左)と「風神」
(京都府立植物園、植物園 de RIMPA「PANTHEON ― 神々の饗宴 ―」,2015)


ほぼ同じ時期に、京都府立植物園でも、琳派400年記念イベントの一環として『植物園 de RIMPA「PANTHEON ― 神々の饗宴 ―」』という展覧会が開かれた。これもまた、新たな「植物園の意味」を提示した愉しい催しであったと思うのである。



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○アンソニー・ドーア、シェル・コレクター


シェル・コレクター


アンソニー・ドーア(1973-)の短篇集「シェル・コレクター」を読んだ。(03年、新潮社、岩本正恵・訳)
原書は2001年出版、これがデビュー作であった。
ドーアは、2015年、ピューリッツァー賞を受賞した。

読みだしてみると、いたってシンプルな小説である。
しかし、物語の設定、登場人物、ストーリーの展開、そして結末、読み終わってみると、どれも、少しずつ歪で奇妙で、やはり現代小説なんだよなあと感じさせる部分があふれている。
文章も文体もシンプルで美しく、きちんとストーリーも展開される。
しかし、ベースになる想像力が、どこかいびつで、物語の展開する方向も不思議だ。
結局、読み手を途惑わせたり、ところどころで幻想ブンガクの領域に踏みいらせてしまうような、そんな小説をドーアは書いた。
ただし、訳者があとがきで書いているような超常的な世界だとか、異界だとか、自然への畏怖だとかを描いたのではないと、わたしは思う。これは、あくまで普通の人間の心と想像力について(つまりあらかじめ歪なものである心と想像力について)書かれた物語であるし、いかに普通の心と想像力が奇妙で不思議な世界につながっていくのかについて描いた小説だと思うのである。


短篇集には、次の8篇が収録されている。
オースターやミルハウザーやダイベックのように、読み手を現実から幻想の世界に放り込んでくれるような小説がわたしは好きなのだが、ドーアの小説は少し違っていて、現実と幻想世界の狭間を描きながら、実は真正面から生きることについて書いた小説だという気がする。ともかく、どれも堪能させてくれる話でありました。

①「貝を集める人」
= 孤島で暮らす盲目の老貝類学者の話。隠遁生活を描くのではなく、世界や、他者や、少女との出会いについて描く。混乱するが、美しい安息もある。

②「ハンターの妻」
=モンタナの山奥に住む狩猟ガイドの男の話。奇術師の助手をしていた少女を見初め結婚する。彼女は、手をかざすと「死んでいく生きものの魂を読みとることができる」。
まるで超常的な感覚について書かれた小説のようだが、そうではないと思う。
人間のこころはあらかじめどれも歪で、必然的に離れたり繋がったりせざるをえないという事実について書いた物語だと思うのだ。
それだけに美しくて哀しい。

③「たくさんのチャンス」
=海辺の町に引っ越してきた少女の、ひと夏の経験について書いた話。
立派な成長小説。すがすがしく、少し抒情的でもある。

④「長いあいだ、これはグリセルダの物語だった」
= アイダホ州の田舎町に住む姉妹の話。姉が見世物小屋の金喰い男と駆け落ちしたために残された妹にの人生について書かれた物語。淡々としていて、しかも峻烈。

⑤「七月四日」
=バカなアメリカ人の釣師たちが、バカなイギリス人の釣師たちと、魚釣り勝負をする話。
短い寓話。

⑥「世話係」
=リベリア内戦で家族を失った男が難民として流れ着いたアメリカで、さらなる苦しみを味わうという話。ただし単なる冷酷な話が展開されるのではなく、なにやら安息の地に戻れるのではないかと夢想させる辺がドーア風なのか。さらに、①、②の話と同様に、男が少女と出会うことで、救済されるという構造もある。まあそれならオイラだって無垢な少女に出会いたいなどというタワゴトは言わないほうがいい。

⑦「もつれた糸」
=中年男が釣りをしている。ふとしたことから不倫相手の存在がばれそうになる。そんな心配をしながら、なおも釣りをしている。そんな情景を描いた話。
釣りと川についての描写が何か心理的なメタファーになっているとかどうのとかという読み方はせずに、その静謐で緻密な文章を読む方がいいのだろう、不倫の心配というベタな話があざやかな短篇になるというお手本?のような小説。

⑧「ムコンド」
=化石発掘に来た博物館員が、不思議な活力にあふれたアフリカの女性を見初め、結婚してアメリカに戻る。アメリカの生活になじめない彼女の心と、仕事と時間にとりつかれたように働く男の心が、当然のように離れて、壊れていくようすを描いた話。もちろん、いかに、救済されていくのかについて書かれた話でもある。物語の構造は、②と同じ。
脆くて、哀しくて、ただし結末は美しい。


PS. 「シェル・コレクター」は、日米合作の形で映画化される。2016年、公開予定。




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1007. ミス・ブロウディの青春 (bicycles in fiction Ⅱ)


4560072035.jpg Jeanbrodie.jpg


ミュリエル・スパーク(1918-2006)の長編、「ミス・ブロウディの青春」 (1961) を読んだ。
これはスパークの出世作であり、代表作であるそうだ。
69年には、映画化もされている。
しかし、2013年に河出書房から出た短篇集、『バン、バン!はい死んだ 』 の記憶があまりに強烈だったため、あらためてこの旧作の長編を読むと、少し混乱してしまったりする。短編のブラックな調子、スラプスティックな書きぶりをイメージしながら、この本を開くと、その堂々とした物語の始まりにちょっと驚いてしまうのである。ジェーン・オースチンを間違えて開いてしまったか、とは思わないにしても。

 マーシア・ブレイン女子学園の女生徒としゃべる時、男の子たちは間に自転車を置いてハンドルに手をかけていた。自転車が両性間の保護策になり、ほんの立ち話だけ、という印象をあたえる。
 校門からあまりはなれていないし、無帽は規則違反なので、女の子たちはパナマ帽を脱ぐわけには行かない。四年生以上なら、ななめにかぶったりしなければ、少々かぶり方が規則に反していても大目にみてもらえることになっている。つばを後であげ、前で下げてかぶるのがきまりだったが、女生徒たちはそれぞれ、ほんのわすがだけ違反するかぶり方を工夫していた。男の子がいるのでぴったり身体をよせ合って立っているこの五人娘も、それぞれはっきり違ったかぶり方をしている。
 この五人組がブロウディ組の生徒だった。
(「ミス・ブロウディの青春」 、冒頭。岡照雄訳、白水社)


それはまあ、読み進めていくと、これはスパークの長編なんだということがようくわかることになっている。
この巧みな物語の底を流れる皮肉で意地悪な調子は、まさにスパークの一番の面白さだということに、否が応でも気づかされるのである。

物語の舞台は、1930年代のスコットランド、エジンバラの町。
女子校の教師ブロウデイと、彼女の生徒たちをめぐる物語である。
・・・いつものようにぼんやりとした気分で読み始めても、すぐに物語の魅力に深くはまりこんでしまう。
なんでイギリスの作家というのは、こうもストーリーテリングの才に長けているのだろうかと、恨み言のひとつもいいたいくらい面白いのである。





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『生きた建築ミュージアム フェスティバル大阪2015』(イケフェス大阪2015)


大丸心斎橋店


大阪では、只今、『生きた建築ミュージアム フェスティバル大阪2015』(イケフェス大阪2015)が開催中である。
市内に残る明治、大正、昭和のモダンな建物を見て回る機会を作ろうという試み、すばらしいと思う。
私も仕事の波に溺れそうになったとき、気分転換に仕事場の近くの古い洋館を見てまわったりした。
北浜レトロビルヂング、大阪証券取引所ビル、ヴォーリズが設計指導した浪花教会、船場ビルの美しいパティオ、イトーキビル、窓まわりのアラベスク文様が華麗な八木通商ビル、綿業会館、等々。
…イケフェスを機に、もう一度見て回りたくなるような建物がいっぱいなのである。



大丸心斎橋店2


そして、取り壊しが決まっているらしい、大丸・心斎橋店。
ヴォーリズ、1922-33年の作品。
大阪人にはおなじみの建物だが、いつ見ても良い。
デラックスなのである。
日本一美しい百貨店だと思う。
優美である。滅びないことを祈るばかりである。
念の為書き添えると、外部だけではなく、内部の造作や内装もとてもとても素晴らしいのである。



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