75.ブルース・スターリング 自転車修繕人

「自転車修繕人」(1999)、サイバーパンク&SFの大家、ブルース・スターリングの一篇。短編集『タクラマカン』に収録。
物語の舞台は、2037年6月27日のテネシー州チャタヌーガ。主人公のライルは、不法居住者が巣くう古い高層ビルで自転車店を開いている。近未来都市と電脳世界に於ける自転車店がどんなものであるのかを知りたい方にとっては必読の書と言えると思う。

繰り返しキンキンと鳴る音に、ハンモックで寝ていたライルは目覚めた。思わずうめき声を漏らし、体を起して、工具の散らかった自分の自転車店の通路に滑り降りた。 (中略)
それから壁面スクリーンの前に落ち着いて、慣性ブレーキにとりかかった。ライルは慣性ブレーキが大金につながることを知っていた。---いつか、どこかの誰かにとっての話だが。この装置には未来の香りがした。(中略)
もちろんチップ駆動でなければならないが、同時に自転車競技の精神にものっとっていなければならない。いまでは、緩衝装置やブレーキや反応性ハブなど多くの自転車にチップが搭載されているが、自転車はコンピュータではなかった。コンピュータは中身がブラックボックスで、仕組みが目に見える大きな部品などなかった。逆に、人々は自転車には感傷を抱いている。こと自転車となると、人々は妙に寡黙に、伝統的になるのだ。
(小川隆 訳)


サイバーパンク的アイデアとギミックとエピソード満載の一篇。満載すぎて物語はなかなか始まらない。じれっとしてきたとたん、ようやく動き始めた物語は、待ったかいがありました。まるで痛快冒険諜報格闘小説のような豪奢なエスエフ奇譚。特に、侵入してきた女性スパイ(?)をとらえて以降のスラプスティック調の展開は、面白くて愉しくて感涙ものなのでありました。

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こんにちは!

ちょっと恥ずかしいのですが、サリンジャー大好きです。
思春期の頃は読みふけったものでした。
「フラニーとゾーイー」など、感動でふるえるほどでした。
でもやっぱり、「ライ麦畑」が一番好きです。^^

おはようございます

そう、いちどは読みふけりますよね^^。
わたしは、「大工よ・・・」が好きなんですよ。

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