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551. ゴーシュさんはとてもいい人 (Today's Soup)

茂田井武の挿絵 (福音館、セロひきのゴーシュ)2
(茂田井武の挿絵、福音館版「セロひきのゴーシュ」、1956)


宮沢賢治の短篇を読んでいる。
賢治の作品で、「スープ」が登場してきてほしいと思うなら、銀河鉄道の夜かグスコーブドリの伝記を読んだほうがいいんじゃないのという気がしないでもない。ますむらひろし版のアニメでは、ジョバンニやブドリたちがトマトスープを飲む場面があったはずだから。いやでもしかし、(アニメとは違って、)賢治が書いた作品にはそんなシーンはなかったような気もするのだ。

ゴーシュは町の活動写真館でセロを弾く係りでした。
けれどもあんまり上手でないという評判でした。
(「セロ弾きのゴーシュ」、冒頭)


それなら、ということで、このたのしそうな書き出しと美しい挿絵のついた『セロ弾きのゴーシュ』(1934、発表)の方を読み返している。すると、物語の中盤にお目当ての言葉を見つけるのである。

次の晩もゴーシュは夜中すぎまでセロを弾いてつかれて水を一杯のんでいますと、また扉をこつこつ叩くものがあります。
 今夜は何が来てもゆうべのかっこうのようにはじめからおどかして追い払ってやろうと思ってコップをもったまま待ち構えて居りますと、扉がすこしあいて一疋の狸の子がはいってきました。ゴーシュはそこでその扉をもう少し広くひらいて置いてどんと足をふんで、
「こら、狸、おまえは狸汁ということを知っているかっ。」とどなりました。すると狸の子はぼんやりした顔をしてきちんと床へ座ったままどうもわからないというように首をまげて考えていましたが、しばらくたって
「狸汁ってぼく知らない。」と云いました。ゴーシュはその顔を見て思わず吹き出そうとしましたが、まだ無理に恐い顔をして、
「では教えてやろう。狸汁というのはな。おまえのような狸をな、キャベジや塩とまぜてくたくたと煮ておれさまの食うようにしたものだ。」と云いました。すると狸の子はまたふしぎそうに
「だってぼくのお父さんがね、ゴーシュさんはとてもいい人でこわくないから行って習えと云ったよ。」と云いました。そこでゴーシュもとうとう笑い出してしまいました。
「何を習えと云ったんだ。おれはいそがしいんじゃないか。それに睡いんだよ。」
 狸の子は俄に勢がついたように一足前へ出ました。
「ぼくは小太鼓の係りでねえ。セロへ合わせてもらって来いと云われたんだ。」
(「セロ弾きのゴーシュ」、青空文庫から引用)


賢治自身もチェロを弾いたそうだ。腕前は、もちろん、楽長に怒られていた頃のゴーシュ並だったという。
そういえば、花巻の賢治記念館に行ったとき、チェロが一挺展示されていた。あれがゴーシュのセロだったのだろうか。



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