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553. 味噌汁が、食卓のうえに、まるで雲のようにかかっている (Today'sSoup)

日本SF展


海野十三の星の数ほどある傑作のひとつ、「大宇宙遠征隊」を読む。
この小説が書かれたのは1941年であることを覚えておいてほしい。
まだ海外でさえ、荒唐無稽なSF小説が跋扈していた時代である。

「人工重力て、なんですか」
「人工重力というのは、人間の手でこしらえたにせの重力のことさ。そうでもしないと、たとえばこの食卓のうえに味噌汁のはいった椀がおいてあったとして、お椀をこういう工合に、手にとって口のところへ持ってくるんだ。すると、お椀ばかりが口のところへ来て、味噌汁の方は、食卓のうえに、そのまま残っているようなことがおこるんだ」
「えっ、なんですって」
 三郎には、鳥原のいうことが、すぐにはのみこめなかった。なにしろ、あまり意外なことだったので、
「あまりへんな話だから、分らないのも無理はないよ。その話は、この前、僕が宇宙旅行をしたときに、実際あったことなのさ。そのとき僕はずいぶん面くらったよ。なにしろ、口のそばへもってきたお椀は空(から)なのさ。そして味噌汁が、食卓のうえに、まるで雲のようにかかっているのさ」
(「大宇宙遠征隊」1941、青空文庫から引用)


海野が書いているのは、もちろん無重力状態のことである。
まだボストークやフレンドシップなどの有人飛行はもちろん、ルナやサーベイヤーなどの無人探査機も生まれていない時代である。そんな時点で、彼が宇宙旅行についてどんなふうに想像をめぐらしたのかと考えると、すこぶる楽しくて仕方がない。人間の、あるいは作家の果てしない想像力について考えると、気が遠くなる思いがする。そして、こころが震えるような気がするのである。

折しも世田谷文学館で「日本SF展」(~9/28!)が開催中である。
海野十三についての展示も十分にあるようだ。必見!



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