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565. スープを作りたかったが、鍋がなかった (Today's Soup)

Oskar Kokoschka Robinson 1908
(Oskar Kokoschka 「Robinson」, 1908)


ロビンソン漂流記は、近代小説の祖と呼ばれる作品のひとつである。リアリスティック・フィクションとしての世界最初の作品であるというような説明もある。世界で最も多く出版された小説であるかもしれない。「ロビンソン・クルーソーは、植民時代のイギリス人の典型である」と書いた作家もいた。・・・「独立精神、無意識の残酷さ、粘り強さ、未熟な知性、性的無関心、寡黙主義等々」。

訳者の吉田健一は、こう書いている。「主人公が神の摂理とか、正義とかの問題をめぐって、大真面目に、また執拗に思案しているのに、少なからず悩まされもし、また興味を感じた。彼が考えていることは論理的には滅茶苦茶であるかもしれないが、彼が真剣にそういう問題を追及していることは疑いがないのであって、それが彼の遭難や冒険に、いっそうの現実味を添えている。」

千六百五十九年 九月三十日 私、と言うのは、これを書いている哀れなロビンソン・クルーソーはこの島の沖で、ひどい嵐が起って船が難破し、私が「絶望の島」と名付けたこの島に漂着した。船の他の乗組員は全部死に、私も瀕死の状態だった。
(中略)
六月十六日 海岸で一匹の大きな海亀を見付けた。これが最初だったということは、この島に海亀があまりいないためではなく、島の反対側では、毎日何百匹でも捕れることが、後になって解った。しかしもし私が島のその部分にいたならば、非常な危険に曝されたかもしれないのである。
(中略)
六月二十六日 前日よりもよくなる。食糧がないので、銃を持って出かけたが、立っているのが困難なほど弱っていた。それでも牝山羊を一匹撃って、漸くのことで家に持って帰り、その肉を少し炙って食べた。煮てスープが作りたかったが、鍋がなかった。

(デフォー「ロビンソン漂流記」,1719、吉田健一訳、新潮文庫)


前述の訳者解説には、続きがある。
「人間は実際にその最善の努力を尽くして、このように支離滅裂に思索し、しかもその日常生活では、かなり合理的に行動するものだからである。」・・・「ロビンソン漂流記」は、子ども向けの抄訳ではなく、ぜひ全訳を読むべき作品だと思う。



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