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572. スープと雲 (Today's Soup)

Le Spleen de Paris


堀辰雄の処女作 「ルウベンスの偽画」(1930) は、自身の二十一歳のときの軽井沢での経験を基にして書いた恋愛譚である。作家は、この作品について、後にこんなふうに語っている。
    『その頃の私はどうも少しボオドレエルかぶれしてゐたやうに見える。ことに彼の好きな雲を私も好きになつて、例へば 「スウプと雲」 と云ふ散文詩に出てくる、彼がスウプを啜るのも忘れて窓からうつとりと見とれてゐたと云ふ、その雲のごときものを、私は何んとかして一度でもいいからこの手に觸って見たいと思ひつめてゐたのだつた。 「ルウベンスの偽画」 はさういふ私の思ひの凝結して成ったものである』    では、ぜひとも 「スウプと雲」 という作品を見なくてはならぬ。

 無性に私の可愛い女が、私を晩餐に招待した。私は感に耐えて、開け放たれた食堂の窓から、神が水蒸気もて建て給うた移動する建築、手に触れ得ない見事な構成を眺めていた。そうして感嘆の余り、私は思わずこう呟いた、「これらすべての幻想は、私の美しい恋人の、緑の眼をした私の可愛い小悪魔の、その眼と殆ど同じほど美しい。」
 すると突然、私はどしんと背中を一つ敲かれて、皺枯れた、魅力のある声を、ヒステリックな、火酒に焼かれたような声を、無性に私の可愛い女の、その声がこう云うのを聞いたのである、「どうなの、スープを早く召し上がらないの? まあこの、雲屋さんのお馬鹿さん・・・。」

(ボードレール「スープと雲」,1869、三好達治訳)


なるほど、これで、二人の詩人と作家の「雲」に関する深い思いは十分に解った。
では、スープの立場はどうなるのか?




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