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577. 手押し車で運び込まれてきた海亀 (Today's Soup)


バベットの晩餐会


「バベットの晩餐会」は、1987年に映画化されたあとで、日本では本が出版された。
アカデミー賞(外国語映画賞)を取らなければ、翻訳本が出なかったかもしれないとしたら、小説ファンはなんてついていたんだろうと思わざるをえない。物語のクライマックスというべき雪の日の晩餐会のシーンは、映像にもまして、小説 (ことば) のほうが美しいと思うのだがどうか。

その夜遅く、表のドアのベルが鳴った。マチーヌがドアを開けると、またも目の前に手押し車がきていた。あの老人がもうすっかり疲れてしまったものだからとでもいうように、こんどは赤毛の船乗りの少年が車を押してきていた。少年はマチーヌを見てばつが悪そうににやっと笑うと、なにやら大きなものを手押し車から持ち上げた。ランプの明かりで見ると、それは黒ずんだ緑の石のように思えた。ところが台所の床に置かれると、突然その石から蛇のような頭がぬっと現われて、その頭を左右に動かした。マチーヌは亀の絵を見たことがあったし、それに子供のころ、小さな亀を飼ったこともあった。だがこの亀はとてつもなく大きくて、恐ろしくてつついてみれるような代物ではなかった。マチーヌは、あとずさりすると、押し黙って台所から出ていった。
(イサク・ディーネセン「バベットの晩餐会」,1950-58、桝田啓介訳)


台所に運びこまれたこの海亀がこの後どこへ行ったのかは、書くまでもないだろう。ただし、派手な登場シーンの割には、祝宴の場ではそう目立つこともなかったという気がしないではない。でもまあ、他にもバベットが腕をふるったお皿が幾つも並んだのだから仕方がなかったのかな。



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