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578. スープでも飲みな (Today's Soup)


モラビア


「スープでも飲みな」は、アルベルト・モラヴィアの連作集 『ローマの物語』 (1954) の一篇。
この連作では、一貫して、ローマの裏町や郊外に住む”庶民”たちの生活が描かれている。
この短篇でも、登場するのは、中年の椅子職人の男とその妻と息子である。いわば、イタリア風の家族小説と呼べばいいだろうか。

その水曜日の午後には、わたしは帝政時代ふうの肘掛け椅子の繻子をはり替えて釘でとめながら、一人ひそかにわが身の不運を考えてはため息をついていましたが、そのとき電話が鳴り響きました。(中略)
「椅子屋のペリコリだな?」
「はい、さようでございます。毎度お引き立てをいただいております」と、わたしはお客さまからの電話だと思って、こう答えました。
「ああ」と、その胴間声が言いました。「ちよっと訊きたいんだがね、おまえはなぜ結婚したんだい、ペリコリ?・・・・・・おまえの歳になったら内儀(かみ)さんなんかもらわないもんだってことがわからなかったのかね? で、自分のことはどう思ってるんだい? 内儀さんから好かれているとでも思ってるのかい? かわいそうな間抜け男だな・・・・・・」
わたしはたちまちかっとなってしまいましたが、それというのもこの胴間声が、品のない言い方はしていましたが、そのときわたしを苦しめていた疑念をはっきりと言ってしまったせいもあったからでした。わたしは勢いこんで言い返してやりました。「いったい、おまえはだれだ?」(中略)
「正真正銘、友人からの忠告さ。スープでも飲みな (「しっかりしろ、元気をだせ」という意味がある) って」
(米川良夫訳)


邦訳は、白水社版の短篇集 『ローマの物語』 (1967) に所収。
この作品集には、地味ながら味わい深い短篇が並んでいて読みごたえがある。
同時に、モラヴィアの長篇小説、例えば映画化された「軽蔑」、「倦怠」などの作品が描いた世界と比べると全く違っていることに驚いたり、茫然としたりする。でも、心配は無用、スープでも飲めばすぐに立ち直るから。




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