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585. 羊をめぐる冒険・ラファティ版 (Today’s Soup)


Lafferty chantey


宇宙級のホラ話なら、カルヴィーノとラファティのどちらが好きなんだい? 
といつものように軽い調子で男は訊ねかけた。それが恐ろしい踏絵のような意味を持つ質問であることを、ぼくたちは誰も知らなかった。

ポリュペモスはないよりもはるかに悪い場所だった。
 とは言っても近づいてくる星は素晴らしい場所に見えた。爽やかな緑の草原! たしかに素晴らしそうだった! そこは田園世界だ、と便覧には書いてあった。ポリュペモス人たちは素朴な羊飼い連中だった。便覧によれば、羊と山羊を育て、チーズと乳漿を作り、スウィート・ミルクを飲んで、上物の羊肉や子羊肉を食べ、おそらくは羊毛をつむぎ、毛織りかフリースのテントで暮らして、木製のフルートで牧歌を奏でているという。(中略)
羊飼いたちは船乗りを <ドロヴァーズ・コテージ> まで連れて行った。緑の草原と牧草地には羊の群れが遊んでいた。
 羊? 本当に羊なのか?
 宿は酷いものだった。<ドロヴァーズ・コテージ> は宮殿ではなかった。だが暖房の必要はなかったし、必要なときには獣脂の蝋燭が灯された。太陽はまだ空に高かったが、乏しい夕食をふるまわれた。羊肉のようでもあったが、それにしてはひどく奇妙な味だった。それから、ポリッジ らしきものが出たが、おそらくは虫入りだった。
(柳下毅一郎訳)


R・A・ラファティの長篇、「宇宙舟歌」(1968) は、宇宙版オデュッセイアだと思って読めばいいのだそうだ。ロードストラム船長とその仲間たちが、さまざまな怪物に遭遇しながら、故郷までの帰路において辿る放浪と冒険の航海の物語である。

ラファティによればオデュッセイアはなによりも滑稽詩であるという、そしてこの作品も同じである。
引用したのは、物語の第五章、旅の途中で立ち寄ったポリュペモス (羊飼いと羊たちの星) をめぐる物語である。要約すれば、この章は、さしずめラファティ版・羊をめぐる冒険、か。
さまざまな困難と危険がまちかまえているが、幸いなことにここで命を落とすことはない、まだ次に第六章が待っているから。




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