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586. kae kae kae kae kae kae kae kaek quak quak quak. (Today's Soup)


AConfederateGeneralFromBigSur,1964


ビッグ・サー、
太平洋岸のきり立つ崖の上のちいさな土地、
ここにリー・メロンとジェシー(わたし)は住みつき、そして相手のいない消耗戦をたたかう。
いや正確に言うと、相手はいた。
池の蛙である。
大群であった。
この蛙戦役がこの物語の重要な場面となる。
だから、作家は、この物語のことを「軍記」と呼んだそうだ。

 黄昏になると蛙たちは鳴きはじめ、夜どおし鳴き続けた。あんちくしょうら。二十五セント硬貨ほどの大きさしかない蛙たちだ。あの小さな池にいた何百、何千、何万、何億という蛙たちの鳴き声は粗朶を折るみたいに簡単に人間の心を狂わせてしまうことだってできる。
 リー・メロンも立ちあがって、細道に立っていたわたしのところへきた。「もうすぐ日が暮れる」と彼はいった、じっと池を見下して。池は緑色で、これといって危険な感じはしない。「ダイナマイトがあったらな」と彼はいった。
(中略)
 リー・メロンは立ちあがって、池に大きな石を投げ、「キャンベルのスープ!」と叫んだ。たちまち、蛙の声がやんだ。それでしばらく静かになるのだが、また間もなく始まる。リー・メロンは部屋の中に石ころをいっぱい積み上げておいた。蛙たちはいつも、どれかが一声がーと鳴くと二匹目がそれに続き、それから七五四二匹が続くのだ。
 池の中にいろいなミサイルを投げこみながら、リー・メロンが蛙たちに「キャンベルのスープ!」と怒鳴るのはおかしかった。それまでに、まず彼は蛙たちにありとあらゆる猥褻なことばを浴びせたが、そのあとで、的をよく定めて意思を投げながら、意味もない言葉を叫んでみることにしたのだった。
 リー・メロンには好奇心があるし、試行錯誤をくりかえすうちに、「キャンベルのスープ!」が蛙たちをもっとも怖れさせる言葉だとわかったのである。
(藤本和子訳)


R・ブローティガンの「ビッグ・サーの南軍将軍」(1964)、
作家が29歳で書き、最初に出版された作品である。
幾つもの断章を寄せ集めたようで、掴みどころがなく、とりとめのない小説、
と言ってしまうと身も蓋もないが、決して貶しているわけではない、そうではなくまったくの逆、
だからこそ面白い! わたしはそう言いたいのである。
ブローティガンは、最初の作品で、いきなり傑作をものにしたわけである。




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