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593. 聖人たちのスープ (Today's Soup)


七人の使者


スープを食べるということが暖かさや優しさの象徴であるとしたら、そのありふれた表現をつかった最高の小説がここにあると、そんな大げさなことを思ったりするのである。
(以下の引用は物語の結末部である。未読の方の興をそぐ虞があることを断っておきます)

「なあ」 マルコリーノはなおも言った。 「私はこんなくだらぬ男だが、それでもみんなが朝から晩までいろいろとしつこくせがんでくる。私にくらべればあんたの方がずっと聖者なのに、それなのにみんなはあんたをなおざりにしている。でも下界のくだらぬ連中に対しては、なあ兄弟よ、辛抱が第一ですよ」 そう言ってガンチッロの背中を情愛をこめて叩いた。
「まあどうぞお入りなさい。間もなく暗くなるし、冷え込んでくるでしょうから、火でも焚きましょう、そして夕食でもご一緒にいかがですか」
「よろこんで、大いによろこんでそうさせてもらいましょう」 マルコリーノは答えた。
二人は中に入り、薪を切って、火をつけた。薪はまだ湿っていたので、なかなか火がまわらなかった。だがふうふう吹いているうちに、やっとすてきな焔が燃え上がった。

(ディーノ・ブッツァーティ 「聖者たち」 ,1958、脇功訳)


小説は、このあと三行ほどの文章が続き、物語が閉じられる。
読後は、たぶん、三ヶ月ほど、その余韻が味わえると思う。
この邦訳は短編集「七人の使者 神を見た犬 他十三篇」(岩波文庫)に所収されている。
粒揃いの作品が並ぶこの短編集のなかでも、「聖者たち」 はとびきりの作品だと思うのである。




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