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594. スープ皿のような髪形 (Today’s Soup)


Avram Davidson
(画像、http://www.avramdavidson.org/ )


アヴラム・デイヴィッドスン (1923-93) の中篇、「ナイルの水源」(1961)、
主な登場人物は、主人公のボブ(売れない作家)、元・広告マンのマーテンス老人、老人に当代随一の卑劣漢と呼ばれたシャドウェル(マーケット・リサーチャー)、大物広告業者のアンハルト、 出版エージェントのステューアート・・・、彼らは広告業者にとっては”ナイルの水源”ともいうべき何よりも重要なトレンドのみなもとを探っている。

翌朝、ボブはエージェントのステューアートに電話した。 「いまからフィリップス・アンハルト氏へのささやかな商品見本を提供しようか」 と彼はもったいぶった口調でいった。 「書きとってほしい。男性はスープの深皿形のヘアカット。そう、そのとおり。理髪店で、うなじに太陽灯の照射を受けるわけさ。聞いてくれ。女性はマニキュア液で足の指の爪に星形を刷りこむ。ケイト・グリナーウェイ風のドレスも復活する。 はあ? 賭けてもいいが、アンハルトなら ” ケイト・グリナーウェイ風” の意味を知ってると思うよ。それと、あかぬけした女性が頭にかぶるのは、西インド諸島風に結んだマドラス模様のネッカチーフ。結び方がとても複雑なので、あらかじめ折りたたみ、あらかじめ縫っておく必要があるかもしれない。絹とか、木綿とか・・・・・。いまのを書きとってくれたよね? よし。
ティーン・エイジャーの夏のファッションは、膝から下を裁ち落としたブルー・ジーンズ。それに、スニーカーを切りとったサンダル。シャツも、アンダーシャツも着ない    上半身裸で    え? まさか、とんでもない。男の子だけだよ!」
(浅倉久志訳)


デイヴィッドスンは不思議な作家である。「誰が定義しても異色作家」というのが彼の称号だという。ミステリ(MWA賞)、SF(ヒューゴー賞)、ファンタジー(世界幻想文学大賞)の3ジャンルで、それぞれ傑作短編を書き、賞を得ている。作品も不思議なものばかりである。というか、わけわかんないものばかりである。というか、ミステリでもSFでもファンタジーでもないものを書いた。
「ナイルの水源」、もまたそんな作品のひとつである。ばかばかしいくらいの奇想とすばらしいプロットに驚かされる。邦訳は、河出書房の奇想コレクションの一冊として、作品集『どんがらがん』(殊能将之編)に所収されている。





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これはわたしが奇想コレクションを読まなくなってすぐぐらいに出たものみたいですね。
面白そう。
引用部分の長台詞、いいですね。

こんばんは

Simaさん、こんばんは

デイヴィッドスンは、なかなか楽しめると思います。
ぜひ!

「うろんなわたし」、たのしく読ませてもらっています。

jacksbeans


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