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726. アリステア・マクラウド、完璧なる調和 (ぼくらの本が歌う時)


Alistair MacLeod  Alistair MacLeod2


アリステア・マクラウド (1936-2014) は、生涯で20篇弱の短篇を書いた。そのほとんどは、両親の故郷であり、自身も少年時代を過ごしたカナダのケープ・ブレトン島を舞台にしている。
この島は、スコットランドの高地地方から追われるような形で移住してきた人たちが住む移民の島であり、彼らの生活には、今もスコットランドの文化やケルト人(ゲール族)の伝統が色濃く残っているのだという。

彼はいつもアーチボルドと呼ばれ、たまにゲール語で「ギリアスピック」と呼ばれることもあった。堅苦しい雰囲気がつきまとっているせいか、「アーチ」とか、もっと一般的で親しみのこもった「アーチー」という呼び方をする者はいなかった。見た目もふるまいも「アーチー」という柄じゃない、と世間は言った。そして年がたつにつれて、届けられる手紙の宛名には「アーチボルド」とだけ書かれるようになり、宛先には半径六十キロほどの範囲のさまざまな住所が書かれていた。後年の手紙の多くは、千九六十年代に彼を「発見」したという民俗学者たちからのもので、彼はそういう人たちのためにテープやレコードをつくった。そして、「本物のゲール語民謡の最後の歌い手」と言われるようになった。
(中野恵津子訳)


マクラウドがこの「完璧なる調和」(1984)という短篇で描いているのは、古い民謡の歌い手の老人の物語である。彼はただの歌い手ではなく、” ゲール語民謡最後の”という形容詞がつけられるような存在である。かつてのスコットランド・ゲール的な伝統がそこに住む人たちと共に離散していくような状況の中で、彼は生きてきて、そして老いてきている。    “歌” もまた滅びていかざるをえないのだろうか、と作家は問うてみるのである。



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