81.シュペルヴィエル 海に住む少女

「海に住む少女」(1931)は、シュペルヴィエルの短編の代表作である。過去には、堀口大學の名訳(「沖の小娘」)があるが、ここでは光文社文庫版を引用した。シュペルヴィエルの作品は既訳書のほとんどが絶版になる中で、新訳が出たことへの感謝の気持ちもある。

少女の部屋にある衣装箱には、家族手帳や、ダカール、リオデジャネイロ、香港からの絵葉書が入っていました。(中略)
棚には写真アルバムもありました。そのなかの一枚には、海に住むこの少女と、よく似た少女が写っていました。少女はこの写真を見ると、しばしば何だか居たたまれない気分になりました。何だか写真のなかの少女のほうが正しいような、本物のような気がするのです。
写真のなかの少女は輪まわしの輪をもっていました。少女は、同じような輪を町じゅう探しまわりました。ある日、ようやく見つかりました!ワイン樽のたがに使われている鉄の輪です。でも海のなかの道を、輪を追いかけて走ってみても、輪はすぐに沖に流されていってしまうのです。(永田千奈訳)


またしても「輪まわし」の少女である!
デ・キリコや清方の絵の中に登場した少女については、先に記事を書いた。…1914年にパリの街で回されていた輪っかが、20年後には東京の築地に場所を移してまだ回っていたというイメージ?!
さらに、1950年代には、タルホによって、この輪は盗まれた土星のものだということが証明されていたのであるが。…シュペルヴィエルを読むと、この少女は、世界の果ての海の町で、まだ輪まわしを続けていたことがわかる。






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