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729. マルグリット・ユルスナール 源氏の君の最後の恋  (ぼくらの本が歌う時)


Marguerite Yourcenar  Marguerite Yourcenar東方綺譚


平安の時代の ”歌” とは、どんなものであったのか。
今でいう雅楽か、謡いか、演奏されていた楽器はなにか、琴か、箏か、笛か、太鼓か、楽器演奏や舞いよりも声楽が主役になることがあったのか、歌われていたのは漢詩か、民謡のようなものか・・・、疑問と興味はつきない。多くの物語が登場してきた平安時代においても、”音楽”の記述の多さについては源氏物語が突出しているのだともいう。それは、なぜだったのか。

 夜は暑く、明るかった。月光が盲人の上向きの顔を照らし、顔は白い玉に刻まれた彫像のように見えた。しばらくして婦人は森の香のする臥床をはなれ、敷居にこんどは自分が坐りにきた。そして溜息をついて、
    夜が美しうて、眠たくありませぬ。こころにあふれる歌のひとつを歌わせてくださいませ。
 そして返事を待たず、一曲歌ったが、それはこの君が愛妻紫の上の口ずさむのを聞いてしばしばたのしんだことのある想い出のしらべであった。源氏は当惑して思わず未知の女ににじり寄った。
    どこからきたのだ。そなた、わたしの若いころ好んだ歌を知っているな。むかしのしらべを奏でる琴よ、そなたの絃にわたしの指をふれさせておくれ。
(多田智満子訳)


ユルスナール (1903-87) の短編集 『東方綺譚 (原題: Nouvelles orientales,1938)』 は、標題のとおり ”オリエント”をテーマとした作品集である。その中の一篇、「源氏の君の最後の恋」は、源氏と花散里を描いたユルスナール流のLE GENJI MONOGATARI なのである。・・・小品ではあるが、奇妙な魅力にあふれた作品である。それは、この短篇が、ただのヨーロッパ人の東洋趣味によるものではなく、源氏物語の魅力をきちんと言い当てているからなのだと思う。



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