731. シュペルヴィエル ヴィオロン声の少女 (ぼくらの本が歌う時)


Enfant de la haute mer  Enfant de la haute mer2


ジュール・シュペルヴィエル(1884-1960)は、詩人であり、小説も書いた。
わたしはその小説の星の数ほどいるファンの一人である。
シュペルヴィエルが書くのは、主に、少女の物語である。
少女といっても、ルイス・キャロルやボウエンやジャネット・ウィンターソンのそれとは違う。もちろんモンゴメリの少女とは別の世界のはなしである。似ているのは、コクトーの書いた少女、バルテュスの描いた少女である。夢を見ているか、死んでいる少女を主に描いた。   

 それはあたりまえの少女だった。ともすると眼が少しばかり大きすぎたかも知れないが、それとてほんの少し大きすぎるだけなので、見る方の人は、どうやらこれぐらいの眼なら、ちょいちょい見たことがあるような気がするのであった。
 幼い時分から早くも彼女には、何か人たちが自分に隠しているのだということが、自分の周囲(みのまわり)のひそひそ話で思い知られるのであった。彼女はそれらの内証話の目標がなんであるかは知らなかった。しかし小娘がうちにあると、何処でもこうなのだろうと思って、別に気にもとめずにいた。
 或る日のこと、彼女が木から落ちた時、その時自分がたてた声がいかにも奇妙な声だと、彼女にもはっきり感じられた。それは非人間的で、また音楽的であった。
(堀口大學訳)


シュペルヴィエルは、夢を見ているか、死んでいる少女を主に描いた。   
しかし、「ヴィオロン声の・・・」では生きている少女を描いている。
彼女は生きて、やがて大人の女性になる。だから、これは死んだ少女のはなしでもある、ということになるのだろうか。
「ヴィオロン声の少女」は、短篇集『沖の小娘 (原題:L'Enfant de la haute mer,1931) に所収。
邦訳は数多くあるが、もちろん堀口訳を最初に読んでおきたいと思う。



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