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744. ウィリアム・トレヴァー ピアノ調律師の妻たち (ぼくらの本が歌う時)


William Trevor,After Rain  William Trevor,むずかしい愛


トレヴァーの「ピアノ調律師の妻たち」(1996)、
この短篇に登場するのは、盲目のピアノ調律師の男と、彼の妻たちである。妻が複数になっているのは、再婚したからである。   特別に複雑な設定ではない。20頁ほどの小品でもある。しかし、だからといって、かるうく読みきれないのがトレヴァーのトレヴァーたる所以だということになるのだと思う。

バイオレットと結婚したとき、ピアノ調律師は若かった。ベルと結婚したとき、彼はすでに老いていた。
話はもう少し込み入っていた。というのは、ピアノ調律師はバイオレットを妻にするにあたり、ベルを振っていたからだ。
(畦柳和代訳)


引用したのは、この小説の冒頭部である。
この二行を読んだだけで、この話の展開がわかるだろうか?いやなにも複雑なストーリーではないのだ。しかもトレヴァーの作品であるという大きなヒントもある。これだけを指標に物語の行方を想像してみるのは、とても愉しいだろう。

愉しいだろうと思うのは、きっと予想が裏切られるからである。
ストーリーは読むことができても、トレヴァーが描いた複雑な心理戦のような作品の進行を想像するのは難しいだろう。   作中、ピアノの音も、歌声もほとんど聞こえてはこない。作家は、延々と男と女のこころの動きについて綴っていくだけである。なのに愉しい。それは巧みの業としかいいようのないものなのかもしれない。




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