748. 王様の耳はロバの耳 (ぼくらの本が歌う時)

Demi,King Midas
(Demi 「King Midas」,2002)


「王様の耳はロバの耳」は、もとはギリシア神話のミダス王のエピソードである。
それが、さまざまな民話や童話から劇団四季のミュージカルまで形を変えながら現在まで語りつづけられてきた。   ところでこの物語、いつのまにか、秘密はどうやっても隠せないものとか、ほんとうのことを言う勇気から幸せがはじまるとか、人に対する寛容さを説くとかいった教訓の部分だけが強調されるようになっているが、そもそもはこの話、もっと大らかな"音楽"をめぐる物語なのである。

おやすみなさい レモンのような月が出た
鳩の巣 リスの巣 森の夢
本当のことは眠っている

(寺山修司/劇団四季 『王様の耳はロバの耳』から「おやすみ」の歌)


だから「本当のことは眠っている」なんて美しい寺山のレトリックに惑わされてはいけないのである。
岩波文庫の『オウィディウス 変身物語』(中村善也訳)を読むと、本当の物語は、こんなふうに始まる。
   あるとき、ミダス王は妖精や動物たちといっしょに、田園の神パンの吹く葦笛の音をきいて楽しんでいた。パンも浮かれて自分の葦笛は、太陽神アポロンの竪琴よりもずっと美しい音楽を奏でられると、口にだしてしまう。すると、これがアポロンの耳に届いてしまい、どちらが美しいか競ってみようということになる。勝負はもちろんアポロンの圧勝ということになるのだが、ミダス王だけは盟友パンの肩を持ちつづけ、とうとうアポロンの怒りをかってしまう。その結果、ロバの耳にされてしまうのである。・・・ああ神々はいつも愛おしい。




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