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762. ボリバル侯爵 (ぼくらの本が歌う時)


ボリバル侯爵

レオ・ペルッツの 「ボリバル侯爵」(1920)、
百年前に書かれたこの長編は、今も、ほんの少しも風化せず、まるでリョサの新作かボラーニョの遺作のように刺激的である。
見事なプロット、鮮やかなストーリーテリング、一反読み始めれば、たったの300ページ、ほんの2時間ほどで読み切って、ため息をつく。もっとゆっくり読めばよかった。

 わたしたちは錯乱の虜となった。市に迫る脅威も、<皮屋の桶>も、合図を待つゲリラもすべて忘れた。誰かの悪態が聞こえた。血が凍るほど瀆神的な言葉だった。狂犬病にやられた犬みたいな咆哮がそれに和した。ブロッケンドルフとドノプがオルガンめがけ、怒涛のように木の階段を駆け上がるのが見えた。
 ひとりが鞴をを踏み、ひとりが鍵盤を叩いた。オルガンが鳴り響き、タラベラの歌が丸天井に反響して部屋に満ちた。わたしたちは四人いっしょになって、歌いに歌いまくった。エグロフシュタインが乱暴に体を揺すり拍子をとった。そしてオルガンは歌を圧し潰すばかりに轟きわたった。
(垂野創一郎訳、2013、国書刊行会)


物語の舞台は、19世紀初のスペイン、ナポレオン軍に加わって遠征してきたドイツ連隊が、現地のゲリラと戦う・・・。
と、こんなふうに書けば、古風な歴史小説だと誤解されるかもしれない。
そうではない、決してそうではなく、これは、歴史に題材を取った幻想小説、
いや、幻視小説と言えばいいのだろうか。ともかく、
とてつもなく面白くて愉しくて、読み終わるのがもったいない本なのである。



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