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95.久生十蘭 ノンシャラン道中記

「ノンシャラン道中記 」(1934) は、久生十蘭のデビュー長編である。
自身のパリ滞在の経験を元に、コン吉・タヌ子を主人公とした邦人二人組のフランス縦断の珍道中を描いたものである。そのポップでスラプスティックな調子と展開ときたら!とても戦前の日本で書かれた作品だとは思えない。比類なき名作であると書き留めておきたい。

「署長さん、実は昨夜、われわれの車(マシン)が盗まれました」
「ほほう、どんな車(マシン)だね?」
「二人乗るくらいの、ほんのちょっとしたやつなんですけど」
「番号は何番じゃったね」
「あの車に番号なんかあったかしら?」
署長は大きな帳面を引き出して、親指の腹を舐めあげ舐めあげ頁を繰っていたが、
「盗まれたのは何日だといったかね?」
「昨夜なんですの」
「昨夜? いや、そんな事はあるまい。もう六ヵ月にもなっている。あんた達の車というのは、拾得物としてちゃんと届け出てありますぞ。ご安心なさるがいい。今、引き渡しますから、ここで待っていなさい、いいか」
といって戸外へ出て行ったが、やがて、曲馬団ででも使ったと思われる「二人乗りの自転車(タンデム)」を押し出して来た。
「どうじゃネ?」
(ノンシャラン道中記/合乗り乳母車・仏蘭西縦断の巻) 


久生十蘭は極めて多彩な作品を残している。近時、復刊が進み、かなりの作品が簡単に読めるようになってきたことが嬉しい。わたしは、中でも、彼の捕物帳の大ファンである。暇な時に、青空文庫を開いて、「顎十郎捕物帳」や、「平賀源内捕物帳」を一篇づつ読んでいるのだが、その面白さときたら、格別!なのである。



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