13.ティム・プラット 魔女の自転車

「魔女の自転車」(2002)、SFマガジン2006年6月号、ヤングアダルトノベル特集号に収録。同誌によれば、当時の「ハリー・ポッター」ブームから欧米の若手SF/ファンタジイ作家によるYA小説の新しい流れが生まれたという。その視点から、訳出された一篇である。ティム・プラットは、その時点で日本初紹介の作家、この短篇はいわゆる「学園もの」である。

自転車までもが邪悪だった。
太くて黒いチェーン錠をフレームに巻きつけ、自転車は<アンティキティーズ・アンド・タンジブルズ>前の街灯の鉄柱に、その前輪をくくりつけられていた。ダウンタウンにある狭苦しいごちゃごちゃした骨董屋の店先だ。チェーンをぴんと張ったさまは、餓えかけたグレーハウンドのように、骨ばって獰猛そうに見える。1950年代には新型だったろう泥よけつきの大きな自転車だった。フレームはくすんだ赤で、その色は永いこと忘れ去られていた財宝のルビーを思わせた。ハンドルは雄ヒツジの角のように曲がり、正面のヘッドライトは午後の日差しにきらめき、輝く光を放っている。サドルは型押しされた黒革ばりで、スポークはぴかぴかに光るクロム合金だ。ペダルには靴底をしっかり噛むよう凹凸があり、裸足で乗ろうとしようものなら足を切ってしまうだろう。
自転車の主が骨董屋から出てきた。その女は・・・
(石井庸子 訳)


「その女」は…、もちろん魔女なのであるが。これがあまり怖くない。あまりファンタスティックでもない。しかし、YAの学園ものなのだからむしろそれが当り前か。そう割り切れば、これがなかなか楽しい話しではありました。例えば、「魔女が自転車のチェーンロックをはずしてベルトのように腰に巻く」という姿に魅かれたのはわたしだけなんだろうか?

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