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102. ブローティガン 愛のゆくえ

「図書館」について書かれた小説、ボルヘスの「バベルの図書館」を別格とすれば、そして、田中啓文の「本を隠す」を番外とすれば、ここでイチバンに挙げなくてはならない本は、決まっている。図書館について書かれた小説で、わたしがいちぱん好きなのは、ブローティガンの「愛のゆくえ」(1971)である。・・・この物語に登場するのは、<人々が一番大切な思いを綴った本だけを保管する珍しい図書館>、である。自分で書いた本を持ちこむ人ばかりで、閲覧したり貸し出したりする人はいない。

これは完全に調和した、みずみずしくも、アメリカそのものの、美しい図書館である。今は、真夜中で、図書館は夢見る子供のようにこのページの暗黒のなかにたっぷりと引きこまれている。図書館は「閉館」してはいるが、ここがわたしの住処で、それも何年も前からのことだった。ここに住めば家に帰るまでもなかったし、それにここは二十四時間つめていなければならなかった。それがわたしの勤めの一部なのである。小役人のようないい方はしたくないが、だれかが来て、わたしがいなかったらどうなるかと考えると怖くなるのだ。
(青木日出夫 訳)


奇妙な設定、不思議な展開、風変わりで、でも魅力的な登場人物、詩のようなリズム感と夢の中のように歪んで流れる時間、恋物語という説明からは程遠い、孤独なこころを描いた小説、世界から孤立した作家の姿が透けて見えるような物語は、バカバカしくて、珍妙で、当然ながら少し哀しい。


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