103. ローレンス・ブロック 泥棒は図書室で推理する

偏愛するブロック、<泥棒バーニイ>は大好きなシリーズ作品である。その軽妙洒脱な語り口と展開!それはもう愉しさの極致。・・・「泥棒は図書室で推理する」(1997)は、その第八弾。本を読む喜びを間違いなく与え続けてくれる作家と作品に感謝するばかりである。おまけに本作は<図書室>もの! 原題は「THE BURGLAR IN THE LIBRARY」、 <Library>という新しい記事のテーマの劈頭を飾るにふさわしい一篇であると信じる。

私はそこに佇み、眼をみはった。洒落た個人の図書室を含め、堂々たる部屋にはこれまで何度もはいっている。ときにはちゃんとした招待を受け、ときには持ち主の許可を得ることなく、むしろ持ち主を無念がらせる、ただこっちの都合で。そんな中には、立ち去りがたく、可能なかぎり長居をした部屋もいくつかあった。が、ここはとてもその程度ではすまなかった。
私は部屋ごと盗みたくなった。魔法の絨毯  まさにここに敷かれているようなやつ。魔法の財産を所有する能力を充分秘めているように見えた  に全部を包みこんで、ニューヨークに持ち帰り、また広げられるところで  たとえば、セントラル・パーク・サウスのアールデコ風のアパートメント・ハウスの最上階で  指をぱちんと鳴らすのだ。そこの窓からは息を吞むようなセントラル・パークの景観が眺められ、射し込む明かりはやさしい北明かりなので、絨毯も本の背も色褪せることがない・・・  
(田口俊樹 訳)


今回のバーニイは、ある稀覯本を求めて片田舎の古い屋敷を改造したホテルの図書室へと出かけていく。その本というのは、チャンドラーがハメットに贈ったという献辞入りの「大いなる眠り」である。まさにこれは、探偵小説ファンなら垂涎ものの本、いや垂涎もののプロットではないだろうか!

泥棒バーニイシリーズは、第二作の「泥棒はクロゼットのなか」(1978)が、『バーグラー/危機一髪』(1987)というタイトルで映画化されている。
主人公役が、ウーピー・ゴールドバーグというのだから、なんと"女泥棒"に変更しての映画化ということになる。バーニイファンとしては、なんだかなあという気がしないでもないが、それでもまあ見たくなるというのは、バーニイの人徳であり、原作の魅力である。
サスペンスとユーモア、ミステリとジョーク、A級のプロットとB級のアクションを備えたこのシリーズは、考えてみれば映像化にはぴったりの作品が揃っている。「泥棒は図書室で推理する」も、いつか映画館でみたいものである。


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こんにちは。

ブロックは「八百万の死にざま」しか読んだことがないのですが、バーニイシリーズとは、随分雰囲気が違うようですね。
「探偵小説ファンなら垂涎もの」・・・これは是非読んでみたいです!

こんにちは

わたしも、マットのシリーズの方が、もっと好きなんですよ。バーニイの方は、がははと笑いたいときに最適です^^
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