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120. J・ウィンターソン オレンジだけが・・・

「オレンジだけが果物じゃない」(1985)は、ウィンターソンのデビュー長編である。熱心なキリスト教原理主義者の両親の基で長い年月を過ごしたという、彼女自身の生い立ちを下敷きにした物語であるらしい。しかし、もちろん、ただの自伝小説というわけではない。

その日の夕方、わたしは図書館に行った。(中略)わたしはおとぎ話の本を見つけ、その中の『美女と野獣』という話を読みはじめた。(中略)わたしはゆっくりと本を閉じた。どうやらわたしは恐ろしい秘密に気づいてしまったらしい。世の中には、女がいる。世の中には男がいる。(中略)
「でもお前はそんなことを心配しなくていいんだよ、主に仕える身なんだから。お前がうちに来たその日に、あたしは宣教師学校に入学の申し込みをしておいたんだからね。忘れたのかい、ジェイン・エアとセント・ジョン牧師のことを」母はそう言ってうっとりとした目つきになった。
もちろん忘れてはいなかった。でもわたしは知っていた。母は『ジェイン・エア』の結末を、勝手に作り変えていたのだ。
(岸本佐知子訳)


物語の舞台は、イギリス北西部の小さな工場地帯の町、主人公の少女はブルーカラーの両親に養女として育てられる。母親は、カルト的なキリスト教の一派の熱狂的な信者である。少女を「神の子」に仕立てるべく徹底的に宗教的な英才教育をほどこしていく。この「教会と家」だけの世界に閉じ込められた少女は、当然、この世界から飛び出して行こうと苦闘することになるのだが・・・。そこは、マジック・リアリズムの新たな担い手たるウィンターソンのこと、通り一辺倒の自伝小説では終わらない。リアルと幻想とを力強く混じえながら独特の調子で物語を展開していくのである。あまりに力強くてなにやら軋む音がきこえるよう。
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