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121. ウィリアム・サロイヤン 人間喜劇

「人間喜劇」(1943)は、サロイヤンの代表的長編である。・・・物語の舞台は、1940年代のアメリカ、『イサカ』という架空の町、そこで暮らすマコーレイ一家と町の人々を描く。50年以上も前に書かれた作品であるにもかかわらず、今もみずみずしさとあふれるような魅力を湛えている。

自分のしていることに、ちょっとばかりおどろきながら、ライオネルはその本を棚からぬき取った。ちょっとの間、手に持っていたが、それから開いてみた。「ほら、ユリシーズ!」と彼はいった。「本だ。ほら、これが本だよ!ね?ここになにか書いてあるんだよ」彼は本の活字の中のあるものを指さした。「そこにAの字がある」と彼はいった。「あれがAだ、ほらあそこに。それから、いっぷう変わった別の字もある。あの字はなんだか知らないけど。どの字もみんなちがうんだよ、ユリシーズ、そしてどの単語もみんな違うんだ」彼はため息をつき、全部の本をぐるっとながめた。「ぼく字が読めるようになろうとは思わないけど」と彼はいった。「でも、本になんて書いてあるか。ほんとに知りたいなあ。ほら、ここに絵がある」と彼はいった。「女の子の絵がある。この子を見てごらん、きれいだ、ね?」彼は本のページをもっとたくさんめくって、いった。「ね、ごらん。たくさんの文字や単語が、本の終わりまで、ずっと、つづいてる。ここが図書館だよ、ユリシーズ」(中略)
彼はゆっくり本を閉じ、もとの場所にもどし、そして二人そろって、この友だちどうしは、足音をさせないようにして、図書館を出た。おもてに出ると、ユリシーズは踵をけあげた。好い気持ちがし、なにか新しいことを学んだような気がしたからだった。(小島信夫訳)


この『図書館で』という章が、わたしは大好きである。・・・というか、この話を読んだからますます図書館が好きになったのである。踵をけあげたくなるくらい。

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