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126. チャイナ・ミエヴィル 鏡

「鏡」(2002)は、ミエヴィルの唯一の短編集『ジェイクを探して』に収録の一篇。物語の舞台は、変貌してしまった近未来のロンドン。そこでは、跳梁跋扈する「イマーゴ=ヴァンパイア」たちとの市街戦が、今も続けられている。

いま、彼はこうしてイマーゴ軍のリーダーと対決する時が来た。ショールは深呼吸し、作戦に意識を集中した。図書閲覧室は、目のまえだ。何度か深く息を吸って、ショールはなかへ入った。
大英博物館図書閲覧室。かつては大英図書館の中心であった円形の大広間で、その後、改築を経て博物館の無意味な集客スポットとなった。ドーム状の天井ははるか上にある。書架はほとんどすべてとっくのむかしに中身を抜き取られていて、いまは姿なき本の幽霊がならんでいるだけだ。巨大な部屋は天窓からさしこむ月の光に照らされていたが、だからといってそれでなにもかも隅ずみまで見えるというわけではない。曲線でできた室内の細部までは。それは、影の上に重なった影にすっかり刻まれて、ショールにはそれがすべて見えた。室内中央にぶらさがっている物体からこぼれる黒い日ざしで、闇のなかの星にも似たもの。目には見えなくても、完全な存在感をもって、議論の余地なく、独自の指針があるかのように円筒状の空間をしなやかな動きで魚のように易やすとパトロールしている。虎だ。鏡の魚だ。(中略)
息ができない。
おまえは、おれに触れるのか?ショールは心の内で問いかけた。(田中一江訳)


ミエヴィルの作品は多彩である。本人は怪奇小説であると説明するのを好んでいるらしいが、SFからジュヴナイル/ファンタジー、ミステリまで巾が広い。ただし、いずれも長編が中心である。・・・本書は、数少ない短篇を集めた作品集である。テイストは、「なにか気味が悪い」である。ラヴクラフトのファンでもあるミエヴィルらしい作品群が集まっている。
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