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128. ロバート・W・チェイムバーズ 黄の印

「黄の印」(1895)は、チェイムバーズの代表作『黄衣の王』シリーズの一篇。19世紀末に書かれたこの独特の怪異小説集は、優に百年を越えて未だに怪しさを保っている。

翌日はぼくにとって悲惨な日になった。(中略)ぼくはいらだっているのが恥ずかしくなって、何か気をまぎらすものはないかと探した。書斎にある新聞や雑誌はすべて読み終えていたが、じっとしているよりはましだと思い、本箱に近づいて、肘で扉を開けた。背の色でどの本なのかはわかるが、気分を高めようとして口笛を吹いて、ゆっくり書斎を歩きながら、ひととおり本の書名を調べつづけた。食堂に行こうとしたとき、最後の本箱の一番上の棚の隅にある本が目に入った。その本には見おぼえがなく、背文字が読みとれないので、喫煙室に行ってテッシイを呼んだ。テッシイがアトリエからやってきて、脚立にのぼって本に手を伸ばした。
「何の本だ」ぼくはたずねた。
(大瀧啓祐訳)


この連作集は、読むだけで恐怖や絶望をもたらすという禍の書《黄衣の王》をめぐる物語で構成されている。邦訳の『黄衣の王』(創元文庫版)には、シリーズの短編四作が収録されている。ぜひこの四篇を、収録の順そのままで読みとおすことをお薦めしたい。こんなものが19世紀に書かれていたのだとしたら、そしてそれをきちんと読みきっていたら、それ以降の20世紀のホラーもエスエフも読まずに済むのかもしれない。19世紀末の作家の豊かな想像力に、ダツボウ、ダツリョクしてしまったのでありました。
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