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134. ルナール 鼠 (博物誌)

ルナールの『博物誌』(1904)は、身近の草木禽獣について書いた短文集である。簡潔な表現のなかに静かな詩情のようなものがあふれている。「俳文のような趣がある」というのは訳者の感想であるが、たしかにこれは俳句の世界だとそんな気がしてくるのである。

ランプの光で、書きものの今日のページを綴っていると、微かな物音が聞こえてくる。書く手を休めると、物音もやむ。紙をごそごそやり始めると、また聞こえてくる。
鼠が一匹、眼を覚ましているのである。(中略)

私がペンを置くと、その度にその静けさが彼を不安にする。私がペンを動かし始めると、多分どこかにもう一匹鼠がいるのだろうと思って、彼は安心する。(中略)

しかし、私は書くのをやめるわけにはいかぬ。で、彼に見捨てられて、いつもの独りぼっちの退屈に落ち込むのが怖さに、私は句読点をつけてみたり、ほんのちょっと線を引いてみたり、少しずつ、ちびちびと、ちょうど彼がものを齧るのとおんなじ調子で書いていく。

(岸田国士訳)


「鼠」も、『博物誌』のなかの一篇である。
この掌編のなかには、書斎だとかLibraryだとかいう言葉は使われていないのだが、この作家が書きものをしている部屋のことが、ルナールの書斎のようすが、なんども読み返しているうちにくっきりと目の前に浮かんでくるような気がしてくるのである。『博物誌』のなかでも大好きな作品になった。ただしイチバンの座は「蟋蟀」に譲るのではあるけれど。

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