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2.カポーティ クリスマスの思い出

少年の頃なら、なんたって自転車がほしいと思うだろう。カポーティのこの短編でも、少年はクリスマスプレゼントに自転車がほしいらしい。でも願いがかなわないことも知っていて、その代わりに彼女から凧をもらう。彼女にも凧をあげる。そういう話である。
ぼくはたしか七才、彼女は年取った従姉で六十才を越える。カポーティの作品にはたびたび登場するおなじみのふたりである。「ぼく」は、もちろんカポーティ自身のことでもある。

ヒイラギの輪を作って、それにリボンをつけて、表向きの窓という窓に飾ったあとで、僕らは家族のみんなへのプレゼントを用意する。(中略)
僕は彼女のために真珠の柄のついたナイフとラジオと、チョコレートをかぶせたチェリーをたっぷり一ポンド買ってあげたいと思う。でもそのかわりに、僕は彼女のために凧を作る。彼女は僕に自転車を買ってやりたいと思っている。でもそのかわりに彼女は僕のために凧を作ってくれているんだろうと僕は見当をつけている。去年もそうだったし、一昨年もそうだった。
(村上春樹 訳)


「クリスマスの思い出」(1956)は、短編集 『誕生日の子どもたち』(文藝春秋、文春文庫)に収録されている他に、山本容子さんの挿画を付けて、単独でも単行本になっている。とても人気のある作品らしい。訳者によれば、イノセントを主題としたカポーティの数あるイノセントシリーズの作品の中でも代表作といっていいものであるそうだ。
カポーティのそういう主題の短編なら、シリーズ化だとか売らんかなの対象なんかにせずにそっと重版をかさねるというくらいにしておいてほしいなんて言うときっとバチがあたるんだろうから言わないようにしよう。わざわざ単独の単行本なんかにせずに、分厚い短編集の中の一篇として読むほうが味わい深いし他の作品との繋がりも感じられるから好きだなんていうのもよそうと思う。だってそんな余分なことを思ったり考えたりする余地のないくらいこの短編は素敵なのである。



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