135. J.R.ヒメネス ボール紙のプラテーロ

『プラテーロとわたし』(1916)は、ヒメネスが故郷のアンダルシアの地で書いた散文集である。散文詩集といったほうがいいのかもしれない。138篇のスケッチが収められているが、ひとつひとつがとても短いので読みやすい。季節の流れに沿って、作品の情景や背景が移り変わって行く、それに連れてどんどん面白くなっていく。少々叙情的で感傷的すぎると思わなくもないが、いつのまにかヒメネスの綴る世界に捕らえられて、魅せられてしまっている。・・・「ボール紙のプラテーロ」(1915)も、この散文詩集に収録されている。

プラテーロよ、一年前、おまえの追憶として私が書いたこの本の一部が世に出たとき、おまえと私の女の友だちが、ボール紙のこのプラテーロを私にくれた。おまえのところから見えるかい?ごらん、それは半分灰色で、半分白い。口は黒と赤に塗ってあり、二つの目はとほうもなく大きく、とほうもなく黒い。土で作った荷鞍には、六つの鉢がのっていて、バラ色白や黄色の絹紙の造花がさしてある。頭は動く。そして、青く塗った台には、ぶ細工な車が四つついていて、ロバはその台に乗って歩くのだ。
プラテーロ、私はおまえを思い出しているうちに、この玩具の小さなロバに、愛情をもつようになった。私の書斎にはいってくる人は、だれでも、ほほえみながら、「プラテーロ」と言葉をかける。・・・
(伊藤武好、伊藤百合子 訳)


プラテーロとは、読書と瞑想と詩作に没頭した故郷での日々を一緒に過ごした相棒である。月のように銀色の,やわらかい毛並みをした驢馬である。138の散文詩は、どれも、このプラテーロに優しく語りかけるような調子で綴られていて、こころに響く。長新太さんの挿絵も絶品。

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