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146. バーバラ・ピム 秋の四重奏

「秋の四重奏」(1977)は、バーバラ・ピムの第七長編。作品の舞台はロンドン、全員ひとり暮らしの男女が四人。共に、同じ会社に勤め、定年間近の年齢である。四人それぞれの平凡な日常を淡々と描く。

その日、四人は図書館へ行った。時間はまちまちだったけれども。司書は彼らになど気がつかなかったかもしれないが、もし気がついたら、どこか同じ職場の人間だなと思ったにちがいない。(中略)
昼休みの今、図書館では、男も女もそれぞれ別のことをやっていた。エドウィンは『クロックフォード聖職者事典』を使いながら、ときどき『人名辞典』を、時には過去の『人名辞典』まで覗いていた。(中略)ノーマンが図書館へ来るのは、本を読みたいからではなかった。彼はそれほどの読書家ではなく、ただここは座っているのに格好で、もうひとつ、やはり昼食時の散歩の場所にしている大英博物館より、わずかながら近かったからだった。マーシャもやはりこの図書館を、オフィスからあまり遠くなく暖かくて、ただで使える良い場所だと思っていた。ここに座って、景色が冬に変わってゆくのを見ていればよかったのだ。(中略)
この四人のなかで、自分一人の楽しみのために、そしてできれば教養を身につけるために図書館を使っていたのは、レティだけだった。彼女は昔から恥じること もなく小説を読んでいたが、自分の人生と同じような人生を映した小説を読みたいと思うことがあっても、現代の小説家は、未婚で愛する人もなく中年にさしかかってきた女の立場になどまったく興味がないのだということをつくづく思い知らされるのだった。(小野寺健訳)


心にしみるのは、ここで描かれている人と人の関係ってやつだ。小説の中の四人の関係、あるいは、四人それぞれと、まわりの人との関係、幾つ年齢を重ねても定まらない宙ぶらりんなままのこころってやつが、人と人との関係を動かしたり壊したりする。それが、ちょっと気になったり、こころにしみたりするだけだ。

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