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151. E.T.A.ホフマン 砂男

「砂男」(1817)は、ホフマンの代表的短編。バレエの『コッペリア』や、オペラの『ホフマン物語』の原作ともなった。
邦訳の河出文庫版には、この作品を分析したフロイトの論文が併録されている。題して『不気味なもの』、・・・まんまである。

夜がとっぷりとふけると、玄関の大扉がギィーッと軋み、黒い影がそっとホールのなかに忍び込んでくる。何か重いものを曳きずるようなにぶい足音が階段をゆっくりと上り、やがてこちらに向ってぐんぐん近づいてくる。廊下を通り、いつものように最後には父の書斎に吸い込まれるように消えてゆく。砂男だ。今夜もまた砂男がやってきたのだ。
ナタナエルは、あの幼い頃の夜のことをいまも憶えている。砂男のやってくる夜は、両親の気配からしてそれと分かるのだった。いつもは食後に珍しい話をしたり絵本を読んだりしてくれる父が、急に口をとざして濛々たる煙を上げながらパイプをくゆらせはじめる。思いなしか母も暗い悲しそうな表情を浮べながら口が重くなってくる。果せるかな、時計が九時の鐘を打つと申し合わせたように玄関の大扉が軋み、あの不気味な足音が階段を上ってくるのだった。
(種村季弘訳)


<砂男>とは、ドイツの童話や伝説に出てくる睡魔の一種で、夜、子どもたちの眼に砂をまいて眠気を催させるという。・・・わたしにも、ほんとうにそんなものが存在するのなら出てきてほしいと思った夜があった。どうしても眠れなかったのである。この作品を初めて読んだ日の夜のことである。まだ十代であった。世の中には小説よりも怖いものが幾らでもあるということを、まだ知らない頃であった。

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