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166. ランペドゥーサ 山猫

物語の舞台は、1860年から1910年のシチリア。イタリア統一運動を経て、その後の半世紀を辿り、その中で滅亡していく名門貴族家の有為転変を描く。
以下の引用部は、有名な舞踏会の場、会場となった邸宅に重く立ちこめる死の感覚に心を乱された公爵が、小さな部屋に退き、身体を休める場面である。

このときまでは、感情の高まりとともに、苛立ちはむしろ彼を元気づけたのであったが、いまこうして緊張が解けると、不意に疲労が襲ってきた。時間はすでに午前二時になっていた。彼は愛すべき兄弟たち、とはいえ相変わらず退屈な仲間たちから離れたところに、安心して腰を下ろすことができる場所を探した。それはすぐに見つかった。小さく静かで明るい、そして人気のないところ、図書室だった。いったん腰を下ろしたあとふたたび立ち上がり、小机の上の水を飲んだ。<本当に美味いものは水しかない>。いかにも生粋のシチリア人らしく考えた。そして唇の上に残った滴を拭おうともしなかった。もう一度腰を下ろした。図書室は気に入った。すぐにくつろいだ気持ちになれた。彼の利用を妨げるものはなかった。なぜなら、住むことのない部屋がそうであるように、特定の個人の所有物という感じがなかったのである。(中略)
扉が開いた。「伯父さま、今夜は本当に素敵ですよ。黒の燕尾服姿が素晴らしく似合ってらっしゃる。いったいなにを見てるんですか?死神(ラ・モルテ)を口説いているんですか?」
(小林惺訳)


「山猫」(1958)は、滅亡の物語である。だから、美しいに決まっている。平家物語しかり、である。
それ以外に、付け足すことのない名作である。
故・小林惺氏の訳文も格調が高く豪奢で煌いている。


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