173. マイケル・イネス ロンバート卿の蔵書 

「ロンバート卿の蔵書」(1956)は、探偵小説 <アプルビイ警部シリーズ> の一篇。邦訳は創元文庫版の短編集『アプルビイの事件簿』に収録されている。

「以前は、あれほど有能で、冷酷と言っていいくらい頑強なロンバードが、まるで何か恥ずべき秘密をかくしているような、弱気の、優柔不断な老人になってしまったというんだ。しかも、ミス・ロンバードは、これが甥のエイモスが原因だと信じているんだ」
「すこしばかり意地の悪い観察だね。エイモスというのは実際に悪事をやりそうな面がまえの男なのか?」
「まあ、そうだ  たしかにそんなふうに見える男だ。(中略)
夕刻には、ミス・ロンバードもまじえて、家族水入らずで夕食をとる。このあと二人は、老人の図書室で親しく二人だけで一時間ほどすごすならわしだったそうだ。老ロンバードは相変わらず他愛もない文学談義を好んでいたようだ」
「こうして恒例のように二人だけですごす時間に、エイモスは何か伯父の気持をうちのめすような手段を弄したのではないかというのが、ミス・ロンバードの意見なんだ。」
(大久保康雄訳)


イネスの探偵小説は、もちろん長編が中心であり、その魅力にわたしもやられたクチであるが、新たに短編も意外にイケルことを発見した。ここに報告します。ましてや、そこにみごとな図書室が登場するときては!

(イネスの長編、極私的ベスト3)
①ハムレット復讐せよ(1937)、アプルビイ警部シリーズ第2作、ペダンチックでダンディ!
②アララテのアプルビイ(1941)、同、第7作、スラプスティック・コメディ、抱腹絶倒!
③海から来た男(1955)、英国風冒険小説と吉田健一訳、華麗な組合せ!



関連記事
スポンサーサイト

⇒comment

Secret

被災地の学生を応援しよう!
プロフィール

jacksbeans

Author:jacksbeans
ようこそ!
記事のカテゴリ区分は、
①自転車、②図書室、③青、④メキシコ、⑤フルーツ、⑥階段、⑦画家、⑧スープ、⑨音楽、⑩綠、です



にほんブログ村 本ブログへ

ブログ村ランキング参加中、
クリックしていただけると幸いです。

カテゴリ
月別アーカイブ
04  12  09  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04 
検索フォーム
最新コメント
最新記事
PVアクセスランキング/海外文学
リンク