174. シルヴァーバーグ 世界の終わりを・・・

「世界の終わりを見にいったとき」(1972)は、未来へのタイムトラベルを扱った短編。邦訳は、早川書房の時間SF傑作選『ここがウィネトカなら、きみはジュディ』に収録されている。軽妙でシニカルなSFコメディである。

世界の終わりを見にいっておいて正解だった  ニックとジェインはつくづくそう思った。おかげて、マイクとルビー主催のパーティで披露するとっておきの話題ができたのだから。パーティに行くならちょっとした話の種くらい用意しておきたいと思うのが人情だし、おまけにマイクとルビーが開くパーティはとびきり素敵だ。ふたりの家はゴージャスそのもので、近所でも最高の一軒だった。まさに、どんな季節、どんな気分のときにもあたたかく迎えてくれる家。世界の特別な隠れ家。屋内のスペースはたっぷり、そして戸外には・・・・・・さらに広々とした自由がある。天井の梁がむきだしのリビングルームがひとりでに団欒の中心となっていた。特注の内装で、すわって話をするための掘り床と暖炉がある。梁をわたした天井と板張りの壁に囲まれたファミリールームと書斎。・・・(中略)
ニックは陽気な口調で話を切り出した。
「なあ、ぼくらが先週どこに行ったと思う?世界の終わりを見にいったんだぜ!」(中略)
「おやおや」とエディが言った。「ぼくたちも行ったんだよ、水曜の夜に」
(大森望訳)


独特の奇譚は、時間SFの王道からは離れているといわざるを得ないが、この気の利いた掌編がわたしは好きである。
それにしても、このアンソロジーは、名作、傑作揃いである。テッド・チャン、プリースト、ワトスン&クアリアと、冒頭からいきなりつづく強力な作品群には、目が眩んでしまうほど。


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