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184. エリザベス・ボウエン 相続ならず 

「相続ならず」(1934)、邦訳はミネルヴァ書房版、ボウエン・ミステリー短編集『幸せな秋の野原』に収録。・・・物語の舞台は、一時大戦後のイギリス、主人公は伯母の荘園屋敷に居候中のダヴィナ、29歳、オリヴァーという恋人がいたが、彼が没落し金がないのを理由に結婚を諦めたばかりである。そこに、伯母の家の運転手の男の挿話が絡んできて・・・、ボウエン独特の奇妙な調子で物語は展開していく。

彼はダヴィナと同様に社会の敵で、手に入らないものを当てにする暮らしが身についていた。(中略)伯父の勧めで一、二度ほどカントリー・ハウスの付属図書館の蔵書カタログを作ったことがあった。彼の仕事ぶりは根気がなく、見てくればかりで不正確だったが、誰もそれを口にしなかったのは、彼の伯父の機嫌を損ねたくなかったからだ。(中略)
シンガミー卿は、素晴らしいものだが、かびが生えて、読めなくなった図書館を所有していた。ある晩のこと、彼はいつものクラブで知的なプライドをくすぐられて怪気炎を上げ、オリヴァーの伯父の誘いに乗って、じつはカントリー・ハウスにあるんだよ、子牛か子山羊の皮紙で製本された山のような宝物が眠っているんだ、と口走り、その探索と蔵書カタログ製作のためにオリヴァーを雇う羽目になった。
(太田良子訳)


ボウエンの短編集は、奇妙で独特の謎と毒に溢れている。一見わかりにくい話が多いのであるが、人間に対する辛辣さと愛惜が混在しているだけとでも割り切って読めば、そのわかりにくさこそがボウエンの短編の魅力でもあることがわかってくる。だいたい、邦訳にしたって、ミステリー短編集と名乗りながらちっともミステリーじゃないんだもの。ちなみにボウエンの長編小説は、もっとストレートに物語の魅力を伝えてくれるので念の為。

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