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188. エリック・マコーマック ミステリウム

「ミステリウム」(1992)は、マコーマックの第二長編。国書刊行会、2011年の新刊。
この本は、帯の惹句が凄かった。<マコーマックの奇譚にあっては、生々しい肉体性と、ありえない幻想性とがつねに共存している。なかでも、この『ミステリウム』は、ひときわ生々しく、ひときわ奇怪である。不気味な奇想現代文学ミステリの傑作!>

二月六日の火曜日、朝の九時三十分に、私は薬局のカウンターの背後で父の特製のエリキシル剤を調剤していた。電話が鳴った。
「ロバート」それはホッグ保安官だった。「図書館に来てくれ。一大事だ」
(中略)
内部は、なにもかもいつものようにきちんとしているようだった。しかし、私の温かいコートにもかかわらず、建物はひどく冷え切っており、床磨き剤の匂いがいつもよりきつかった。私たちの吐く息は、まるで異質な元素の中にいるかのように、ラッパ型に広がった。読書スペースの奥の、本棚の最後の列の背後から、人声と木の床を踏み鳴らす足音が聞こえてきた。私たちはその方向に向かった。
ホッグ保安官がそこにいた。鼻にハンカチをあてがっている。(中略)
「酸よ!」ミス・バルフォアが叫んだ。
(増田まもる訳)


・・・すこぶる魅力的な仕掛けが盛り込まれているのはたしかだが、しかし実際には奇怪でも無気味でも奇想でもなくて、おまけにミステリでもない。むしろメタ・ミステリとして、緻密なパズルを解くような愉しみが大きいような気がするがどうか。凝りに凝った設定と知恵を絞った構成に、寒くて縮こまった頭脳がぐるぐるぐるとかきまわされて温めてくれる、そんな効能が期待できると思うのだがどうだろうか。

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