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189. マンディアルグ 大理石

「大理石」(1971)は、マンディアルグ、初の長編小説。といっても、短編の集合的な構成であるし、小説というより架空旅行記か偽博物誌のような趣きもあって、ページを紐解くのが愉しい。
引用は、第二章「ヴォキャブラリー」から。

そしてカリタは、他のすべての日と同様、赤と薔薇色の繻子のドレッシング・ガウン一枚を身にまとい、花咲く小枝に鳥のとまっている古い錦の壁布を張った客間の、黄金の額縁のなかの数人の神話の裸像の下で、緋色の大きな長椅子に、坐るというよりむしろ横たわって  もっとも極度の暑さのためにカーテンは引かれていた  フェレオルを待っていたのであるが、むろん、カリタにしてみれば、フェレオルが不可解な慎み深さから抜け出そうとしている時がようやく来たのだと考えるだけの理由は十分あった。にもかかわらず、彼はといえば、ただ彼女のそばに腰をおろして、彼女の指に接吻してから、彼女の腕をとることはとったが、それは友達のような仕種でだった。そして、ごく薄い絹で最小限の慎みを保って、辛うじて覆われているその美しい脇腹に、彼女が男の爪を感じてあられもなく昂奮しているというのに、男の方は、前日、彼女と別れてから後に見たものを、長々と語りはじめたのである。それは彼の言うことを信ずるなら、町の図書館だった。彼は写本やミサ祈祷書や、ボルソ公の聖書のきらびやかな細密画などを説明するにあたって、たったいま昼食中に案内書で読んだばかりのことを、本当に図書館に行ったよりもくわしく、彼女に語って聞かせたのである。
(澁澤龍彦訳)


訳者によれば、マンディアルグの作品は、三つの特質を持つ。・・・「ミニアチュール的想像力、スペクタクル好み、幾何学的空間への偏愛」の三つである。なんだ、それは澁澤さんの好みと一緒のようなものじゃないか。
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