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190. S・ミルハウザー エドウィン・マルハウス

「エドウィン・マルハウス」(1972)は、ミルハウザーの処女作である。『子供によって書かれた子供作家の伝記』という形式を借りた小説である。・・・もうその設定だけで、読みたくならないか!

一方、ジェフリー・カートライトの捜索は依然として続けられている。私としては彼がこのまま見つからないことを祈るばかりである。エドウィンの小説が1969年、ハーヴァード大学のチャールズ・ウィリアム・ソーンダイク教授の令嬢によって発見されたことをご記憶の方も多いだろう。こともあろうに子供図書館で!エリザベス朝の子供に関して優れた著作のあるソーンダイク教授が、ピンクのスモックに黄色いお下げ髪の小さな女の子たちに混じってエドウィンの本に読みふけっている姿は、何ともほほえましい光景だったに違いない。『まんが』は実に数奇な運命をたどってきた。ある不可解な思い違いから子供向け(8歳-12歳)の本として出版されてしまったため、子供には読むことができず、大人からは読まれなかったのだ。
(岸本佐知子訳)


しかし、その奇妙な設定だけがこの作品の読ませどころというわけではない。もちろん伝記文学のパロディとして読むだけでとても面白いのであるが、それに加えて、伝記のなかの<子供の世界>の描写が、もうひとつの読みどころということになる。美しく、暗く、騒がしく、きらきらと輝き、驚きと不安と笑いに満ちた、そんな子供の世界を何か取り憑かれたように執拗に、豊饒なイメージで綴っている。
ミルハウザーは、このあと『イン・ザ・ペニー・アーケード』、『モルフェウスの国から』、『バーナム博物館』、『三つの小さな王国』、『マーティン・ドレスラーの夢』・・・と、素晴らしい作品を書き続けていくわけであるが、<何かに憑かれたような子供>という主題は、何度も繰り返し登場してくることになる。

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