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198. ウンベルト・エーコ 薔薇の名前

「薔薇の名前」(1980)は、エーコの処女小説。読み解くべき物語が重層的に嵌め込まれており、<書物の書物の書物・・・>とでもいうような構造を持つ。また、一冊まるごと<文書館(Library)>について書かれた物語でもある。

惨劇の発生で共同体の生活は混乱した。死体の発見によって惹き起こされた騒動のために、聖務は中断されてしまった。(中略)「ベンチョは落着きがなく、ベレンガーリオは怯えている」ウィリアムが言った。「すぐにあの二人を問い糺してみよう」(中略)
「わたしの記憶にまちがいがなければ、ヴェナンツィオも他の書物の名をいくつか挙げたので、ホルヘは激しく怒りました」
「どういう書物の名を?」
ベンチョはためらった。「よく覚えていません。話題になった書物の名が、重要なのでしょうか?」
「とても重要だ。なぜなら、いまの場合、書物に囲まれて、書物と共にあって、書物によって生きている人々のあいだに起きた事件を、わたしたちは調べているのだから。それゆえ、書物をめぐって彼らが口にした言葉は、いずれも重要なのだ」
(河島英昭訳)


映画化された小説は幾つもあるが、小説ファンの方から見れば物足りないものが多いかもしれない。それなら「薔薇の名前」は、貴重な事例か。もう朧げな記憶をたどれば、映画の方もとても濃密な味わいだったような気がする。あの暗い暗い修道院の映像が、ぼくの心のいちばん奥で♪、残っているように思うのである。


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『薔薇の名前』は→

→私のお気に入りの小説で、『アフリカノ果テ』に至るまでの
異形の文書館の内部構造の箇所を繰り返し読んだりしました。
ところで、jacksbeansさんが仰るように映画も良かったですよね。
特に“スクリプトリウム”と呼ばれる写字室のシーンが印象的でした。
中世ヨーロッパに生まれ変わるんだったら、ああいう写本装飾の
修道僧になって、日がな一日、細密画を描くのも悪くないかなと思います。
最後になりましたが、今年もよろしくお願いします。

おはようございます

こちらこそ、今年もよろしくお願いします。

「薔薇の名前」、久しぶりに読みましたが、あの濃密な調子はやはり独特ですね、一頁、一頁が、ずしんと来るようで、気をつけないと読み終わって疲労困憊ということになりそうなほど。映画も、ちょっとTUTAYAへ借りにいきたくなりました。





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