208. ルナアル 青い木綿の雨傘

短編集『ぶどう畑のぶどう作り』(1894)は、ルナアル、30歳の作品。その時代の人間と自然を優しい目でみつめたスケッチのような作品を集めている。

彼らは、路を離れるといきなり、原っぱをつっ切って、茂った木立ちのほうへ走って行こうとした。ところが、その木立ちは、あんまり遠すぎてなかなか行き着けそうにない。ポオリイヌとピエエルはもうこれ以上行くことはできない。恋心に頭がくらんで、草原のまんなかに、赤ちゃけた草と陽に褪せた花の中へ、からだを投げ出した。ポオリイヌが大きく拡げた雨傘の陰に二人はからだを投げ出した。
路に人影が見えないと、青い木綿の雨傘は動かないでいる。・・・
(岸田国士訳)



「青い木綿の雨傘」も、その中の一篇である。若い恋人たちの様子を、短い寓話のようにまとめている。その観察の眼は、"慎ましい微笑"に覆われているが、同時に少し鳥瞰的で少し高踏的でもある。『にんじん』のように直截的ではなく、『博物誌』のように軽妙でもない。


関連記事
スポンサーサイト

⇒comment

Secret

被災地の学生を応援しよう!
プロフィール

jacksbeans

Author:jacksbeans
ようこそ!
記事のカテゴリ区分は、
①自転車、②図書室、③青、④メキシコ、⑤フルーツ、⑥階段、⑦画家、⑧スープ、⑨音楽、⑩綠、です



にほんブログ村 本ブログへ

ブログ村ランキング参加中、
クリックしていただけると幸いです。

カテゴリ
月別アーカイブ
04  12  09  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04 
検索フォーム
最新コメント
最新記事
PVアクセスランキング/海外文学
リンク