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219. スチュアート・ダイベック ブルー・ボーイ

ダイベックの第二短篇集『僕はマゼランと旅した』は、第一作の『シカゴ育ち』と同様に、シカゴの下町を舞台にした連作集で、そこで生きる少年と少女たちを描いている。「ブルー・ボーイ」(2003)も、そんな一篇である。特異な病で幼くして死んで行った少年とその兄の話を軸に、語り手のペリーとその弟、祖父と父、同級生の少女などのエピソードが加わり、豊かな物語に仕上がっている。

チェスター・ポスコジムの弟ラルフィーは青い赤ん坊として生まれ、とうてい生き延びるまいと思われながら奇跡的にも青い男の子に育った。青緑色の目の下に、青い色がはっきりと見える。影というよりもっと濃い、しみのような、殴りあいの喧嘩をしたか母親のマスカラがべったりくっついたかしたみたいな青。夏でも唇は寒そうに見えた。初めてラルフィーを見たとき、僕はまだ彼の病気のことを知らなくて、ボールペンでもしゃぶっていたのかと思った。指にも同じ青いインクのしみがついていた。(柴田元幸訳)


この連作集には、リアルであると同時に幻想的で、記憶と夢が交叉するようなところで描かれた物語が詰まっている。物語の表現の手法が多彩で、でもそんなものにふりまわされることなく、技術的なたくらみが気になることもない。落ち着いたきもちで楽しむことができる小説ばかりである。しかし読み終わったあとできっと自分自身の時間を過去に遡るような羽目になってしまうだろうから気をつけねばならない小説集でもある。
11篇の中で、大好きな短編は「ブルー・ボーイ」、「蘭」、「ケ・キエレス」、挙げ出すときりがない。特に、後半に並べられた作品はどれもみな見事なのである。


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