スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

26.ジョナサン・レセム 孤独の要塞

「孤独の要塞」(2006)、レセムの第六長編。といっても、邦訳は、デビュー作の「銃、ときどき音楽」(傑作!)、五作目の「マザーレス・ブルックリン」(超傑作!)に次いで三冊目となる! つまり、なんで三冊しか読めないのかとわたしは嘆きたいわけである。・・ともかく、この作品には、”半自伝的成長小説”という惹句が付いている。レセム自身が過ごした70年代のブルックリンを舞台に、ディランとミンガスという二人の少年の物語を描いている。

「ちょっと見せろよ」
”ちょっと見せろよ”誰かがそういって、バスケットボールや、ベースボールカードの束や、プラスチック製の水鉄砲を手にとって見るとする。そのあと、どうなるかは定かでなかった。多くの場合、所有権というものは、その何かを誰かに見せてしまうと危うくなった。ユー-フーのボトルをちょっと見せたら、相手は残っている中身を飲んでしまうのが常だった。
「ちょっと見せろよ。具合。見てやっからさ。ちょっと一乗りさせてろって」
ディランは自転車のハンドルを握りしめた。前日、エイブラハムが補助輪を外してくれていた。ディランはいまだにぐらつき、いまだにスニーカーをペダルから離し、歩道をこすって、ブレーキをかけていた。「ブロックから出ないんだったら」ディランはみじめな気持でいった。
「おまえ、おれが盗ってっちゃうと思ってんのか?…」
(佐々田雅子訳)


そう、この補助輪を外す時期ってのが少年にとってはたいへんなんだ!
・・本書の解説にもあるように、「ハックルベリーとホールデン・コールフィールドに次ぐアメリカの少年の成長物語」がここにある、というわけである。もちろん、レセムらしい捻りと屈折が物語には加わって、「空飛ぶ指輪」なんてものまで登場して、800頁の長編が奇妙にねじ曲がっていたりするわけだけれど。それはそれ、レセムらしいなあと喜んでいればいいと思うのである。


関連記事
スポンサーサイト

⇒comment

Secret

被災地の学生を応援しよう!
プロフィール

jacksbeans

Author:jacksbeans
ようこそ!
記事のカテゴリ区分は、
①自転車、②図書室、③青、④メキシコ、⑤フルーツ、⑥階段、⑦画家、⑧スープ、⑨音楽、⑩綠、です



にほんブログ村 本ブログへ

ブログ村ランキング参加中、
クリックしていただけると幸いです。

カテゴリ
月別アーカイブ
04  12  09  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04 
検索フォーム
最新コメント
最新記事
PVアクセスランキング/海外文学
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。