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236. マルグリット・ユルスナール 老絵師の行方

「老絵師の行方」は、短篇集『東方綺譚』(1938)に収録の一篇。
絵師の汪佛と弟子の玲は、或る日、漢の皇帝の前に召され、覚えのない罪を問われることになる。
・・・古代中国の道教の寓話にヒントを得て書かれた短編であるという。

汝は海が絵絹の上の茫大な水のひろがり、そこに石が落ちれば碧玉に変ぜずにはいないほど真蒼な水のひろがりであると余に信ぜさせた。女たちは汝の園の小径にあって、風に舞う蝶にも似た花さながらに、開いては閉ずるものと、そして辺境の城塞で守るほっそりと若い武士たちは、人の心を射ぬく矢にほかならぬと、汝は余に信じこませたのだ。(中略)
汪佛、老いぼれの騙りめが。世界は気の狂った絵師によって虚空にまきちらされ、われらの涙によってたえず消される、乱雑な汚点(しみ)の集塊にすぎぬ。
(多田智満子訳)


もちろんユルスナールのことである、西洋の作家のオリエンタリズムなんて単純なものではない。丹念に磨きつくされた綺譚を味わい尽し、こんなものの後には何を読めばいいのかと、慄くばかりである。特に、物語の最後、老絵師と弟子の二人が蒼い大気と蒼い翡翠の海に消えてゆく光景は、素晴らしい。本来ならその部分を引用したかったのであるが。引用するのが反則だと思えるほどに美しいのである。


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