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258. ジェラール・ド・ネルヴァル シルヴィ

ネルヴァル(1808-55)は、後期ロマン派の詩人、小説家。没後、20世紀に入って、プルーストやシュルレアリスムの作家たちによって再評価が進んだ。「シルヴィ」(1853)は、作品集『火の娘たち』(1854)に収録の一篇。・・・物語の舞台は、19世紀央のパリ郊外、ヴァロア地方。昔からの避暑地で、風光明媚な観光地であると同時に、ジャン・ジャック・ルソーの生誕地として知られるということが、物語のちょっとしたアクセントになっている。

私たちはテーヴ川の岸に沿って出発し、ひなぎくやきんぽうげが一面に咲いている野原を渡り、それからサン=ローランの森沿いに進み、近道をするために何度か小川や藪を越えた。(中略)ときどき、足もとで、ルソーがあんなに愛していたつるにちにち草が咲いているのを見かけた。二枚づつ対になった葉の並ぶ長い茎の間に、青い花冠が開いていた。地味な蔦がからんで、シルヴィのそっと進める足をひきとめたりした。ジュネーヴ生まれの哲学者の思い出などには関心のないシルヴィはそこここで、香り高い野いちごを捜すのだった。で、私は『新エロイーズ』の話をし、その何節かを暗誦して聞かせてやった。「面白いお話なの?」と彼女。「すごく立派なんだ。」「アウグスト・ラフォンテーヌよりももっと良いかしら?」「もっと真情がこもっているのさ。」「まあ!それじゃ」と彼女は言った、「読まなくちゃいけないわ。兄さんにたのんで、今度サンリスに行ったとき買ってきてもらうわ。」そして、シルヴィが野いちごを摘んでいる間、私は『新エロイーズ』の断章をまだ暗誦しつづけるのだった。(中村真一郎、入沢康夫訳)


報われることのない恋の話である。それは”薔薇色と青”の二つの色がかわるがわる輝く変光星のようだと喩えられている。一人称で、且つ回想形式で語られるだけに、余計に物悲しい。ただ、これを単なる自伝的な作品だとか、悔恨と追憶の小説として読んでしまうと間違いなんだそうだ。プルーストによれば、「シルヴィ」は、むしろ純粋の生の一瞬の輝きを描いた作品なのだという。


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