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262. R・フラナガン グールド魚類画帖

「グールド魚類画帖」(2001)には、<十二の魚をめぐる小説>という副題が付いている。オーストラリアのとある美術資料館に現存する、19世紀に描かれた36葉の魚の水彩画に出会い、強い印象を受けた作家が、この絵を基にした小説を書くということを思いついた。章ごとに、一匹の魚をあて、その魚が描かれた経緯を語り、絵の本当のモデルを明らかにするという手法で、この小説は書かれている。

この奇妙な記録は、ウィリアム・ビューロウ・グールドという囚人のものらしかった。自然科学に興味があったとされるグールドは、1828年、流刑植民地サラ島の外科医に、かの地で捕れるすべての魚の絵を描くよう命じられた。しかし、絵を描くという任務が強いられたものだったのに対し、文章を書くという、作者が余計に背負った重荷は、そうではなかった。囚人がこういった日記をつけることは禁止されており、したがって危ない行為だった。話のそれぞれは異なる色のインクで書かれており、インクは、この囚人の書き手が述べているように、手近にあるものでさまざまに工夫して間に合わせにつくられた。赤いインクはカンガルーの血、青いインクは盗んだ貴石を砕いたもの、という具合に。
作者は色で書いた。より正確には、色で感じたのだと私は思う。彼が、ワインのように深い紅色の夕焼けや、光り輝く藍色の静かな海を熱心に賛美したというのではない。私が言いたいのは、あたかも宇宙は色の帰結でありその逆ではないというように、彼が圧倒された色調を自らの世界に取り込んだということだ。私はつくづく考えた。色彩がもたらす驚嘆は、彼が置かれた世界の恐怖を償ってくれたのだろうか?(渡辺佐智江訳)


盗んだ貴石を砕いてつくった青いインク!
フラナガンの原書では、実際に六色を使い、章ごとに刷り色を変えて印刷され、造本されたらしい。もちろん、そこには、貴石を砕いてつくった青い色が含まれている。盗んできた材料ではないらしいが、一応、見ておきたいものだ。いやなんとしても見たいものだ。




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