265. ルベン・ダリオ マブ女王のベール
ルベン・ダリオは、ニカラグアの詩人、作家。詩集『青・・・』(1888)は、彼の代表作であり、スペイン語圏におけるモデルニスムの象徴的な作品という位置付けがなされているらしい。「マブ女王のベール」は、この詩集のなかで、”散文風物語”と名付けられた作品の一つである。短い作品ながら力強く、また官能と神秘にあふれている。
訳者によれば、ニカラグアは、詩と詩人の国だそうだ。週末の新聞には必ず詩の特集記事が載り、学校やイベントや葬儀では必ず詩が朗読される。毎年、詩の国際フェスティバルが開かれ、世界中から詩人たちが結集する。マブ女王(夢を支配する妖精)もまた、遙かケルトの地から、この詩人たちの国まで、招かれて来たのだろうか。
あの当時、妖精はその恵みを人間たちに分け与えていたのです。(中略)四人の男たちは嘆いていました。一人には、くじで石切場が、他の一人には虹が、もう一人にはリズムが、そしてもう一人には青空が当たっていました。(中略)
マブ女王は、ひとつの真珠でできた車の奥から、溜め息か、或いは思いに沈んだ金髪の天使たちの視線でできたかのような、ほとんど触知できない青いベールを取り出したのでした。そして、そのベールは、夢のベールでした。人生を薔薇色に見せる甘い夢のベールだったのでした。それから。そのベールで、痩せて、ひげを生やした、横柄な四人の男たちを包んだのでした。彼らは悲しむのをやめました。なぜなら、彼らの胸には希望が、頭には明るい太陽が虚栄心の小悪魔とともに深く入り込み、深い失望の中の哀れな芸術家たちを慰めたのでした。その時以来、輝かしい不幸者たちの屋根裏部屋では、青い夢が漂い、薔薇色の未来を思い、悲しみを取り去る笑い声が聞こえ、白いアポロンや美しい風景や古いバイオリンや黄ばんだ原稿の周りで、奇妙な道化の踊りが踊られるのでした。(渡邉尚人訳)
訳者によれば、ニカラグアは、詩と詩人の国だそうだ。週末の新聞には必ず詩の特集記事が載り、学校やイベントや葬儀では必ず詩が朗読される。毎年、詩の国際フェスティバルが開かれ、世界中から詩人たちが結集する。マブ女王(夢を支配する妖精)もまた、遙かケルトの地から、この詩人たちの国まで、招かれて来たのだろうか。
- 関連記事
-
- 266. 幸田文 濃紺 (2012/03/12)
- 265. ルベン・ダリオ マブ女王のベール (2012/03/11)
- 264. サルバドール・プラセンシア 紙の民 (2012/03/11)
スポンサーサイト